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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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624/648

624【ふたりの冒険者登録】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 冒険者ギルドに着くと、受付嬢がすぐに対応し、そのまま執務室へととおされた。

「忙しかったか?」と問うオレに、いや、と応えるギルマス。書類仕事をやめて、立ち上がる。

「このふたりが、例のふたりだ」

「ご苦労様」

 オレは背負っていたテリーをその場に降ろした。

「テリー、ムーナ、彼が冒険者ギルドのギルマスだ。挨拶して」

 テリーは。オレから降りると、ギルマスを見てから、口を開いた。

「よろしくお願いします」とテリーは一礼した。ムーナちゃんも。

「これからは、ギルドが責任持つ。そのことについては、わかっているか?」というギルマスの言葉に、ふたりともうなずく。

「よし。この町は、おまえたちを歓迎する」と厳しい態度で、接するギルマス。「ただし、悪いことをすれば、罰するからな。それだけは気を付けてくれよ」

 じっと見つめるギルマスに、ふたりは固くうなずく。

「よし。サブ、まずは、例のものを」

 オレはうなずいて、注文の絵板を、ムーナちゃんに渡す。

 彼女は、それがどういう意味かを悟り、ギルマスに差し出す。

 ギルマスは、その板をマジマジと見つめ、それからうなずいた。

「よし。条件どおりだな」と板を納める。

 それから彼はお金の入った革袋をムーナちゃんに差し出す。

 そうされたムーナちゃんは、オレを見る。

 オレはそれにうなずいて応える。

 それから彼女は、前に踏み出し、ギルマスの前に立つ。そうして、革袋を受け取った。

「ムーナ」とギルマス。「これからもよろしくな」と表情を崩さず、問う。

 ムーナちゃんは、大きくうなずく。

 ギルマスもうなずいた。

「よし。ふたりには、冒険者ギルドがカネを貸す。そのため、まずは、冒険者として登録してもらう必要がある。名前は書けるか?」

「はい」とテリーが答える。

「字は読めるか?」

「あっ、よ、読めません。まだ、字の練習中で――」

 ギルマスがテリーを止める。

「心配するな。きちんと読める方がいいというだけだ。ウソを言われるよりはいい。仕事を割り振って、あとからできませんは通じないからな」

「は、はい」

「ムーナ、おまえもだ」

 大きくうなずくムーナちゃん。


 ふたりの冒険者登録が済み、ギルドカードが渡された。

「これでふたりとも冒険者ギルドの一員だ。頼むぞ」

 ふたりともにうなずいた。


「ふたりとも、サブたちとはここでお別れだ」とギルマス。

 それを聞いて、えっ、とふたりがオレたちに振り返る。

「オレたちは、旅の途中でな。いつまでもここにはいられないんだ」

 ムーナちゃんがマナミに駆け寄り、抱きつく。その瞳はぬれていた。

「サブさん、マナミさん、本当にありがとうございました」とテリー。「ここまでしてもらえたこと、忘れません」

「あとは、ふたり次第だ。絶望するなよ」

「はい」

 マナミが屈んで、ムーナちゃんを強く抱く。

「ムーナちゃん、さよならは言わないわ。また、会いましょう」

 うなずくムーナちゃん。それから、離れた。兄のところに行く。手をつないだ。

 オレたちに向き、ふたりして、一礼した。

「ギルマス、任せた」

「任された」

 オレたちは、執務室を出ると、ギルドをあとにして、町門を(くぐ)り、街道へと出た。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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