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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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623/648

623【ふたりの年齢】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、短めです。

 翌日。快晴。


 朝食後に、テリーの容態をマナミとふたりで診る。

「風邪はもう大丈夫ですね」

「ああ。あとは、体力が戻れば、健康体だ」

「ありがとう、ございます」と頭を下げるテリー。

 ムーナちゃんも頭を下げる。

「テリー、念のために聞いておきたいんだが、歳はいくつだ?」

 これは鑑定さんで、すでに知っている。が、さすがに、何も聞かずに、言うわけにもいかない。

「たぶん、十四?」

「わからない?」

「はい」

「なら、先日、十五になった、ということにしなさい。大人として扱ってもらえる」

「大人?」とピンときていないようす。

「十五歳で成人だ。つまり、大人の一員となる。将来、何をするかは知らないが、少しは考えた方がいい」

「すぐに、働かないと?」

「そういう意味じゃない。冒険者ギルドの一角を借りて、冒険者として登録して、まずは手仕事をしてもらうことになると思う。お金は、冒険者ギルドが貸してくれることになっている。あとは少しずつ返していけばいい」

 お金の話に、ホッとするテリー。

「冒険者ギルドのギルマスってわかるか?」

「あ、はい。一番偉い人、です」

「そう。そのギルマスには、おまえたちのことを話してある。酷い扱いは受けない」

「わかりました」

「ここまでの話で、わからないことは?」

「えっと」と考えるテリー。

 手を上げたのは、ムーナちゃん。

「なあに?」

 書字板に十五と書き、テリーへと矢印を書く。

 それから自分を指差す。そして、指を振る。疑問を意味する手話だ。オレの知ってる手話だ。

「ムーナちゃんは、いくつかわからない?」

 うなずくムーナちゃん。

「十歳というところだな。どう、マナミ?」

 これは前に話し合っていた。

「そうですね。タヌキ獣人は幼く見えるという話でしたし」

 マナミがそう言うと、ムーナちゃんは膨れた。“幼い”というところにむくれたのだ。

 それにふたりして笑う。

「ムーナちゃんは、見た目以上にしっかりしているから、本当のムーナちゃんを知ったら、みんな驚くよ」

「ええ。驚かせてやりなさいな」

 オレたちふたりで、彼女を励ます。

 それでムーナちゃんは、機嫌を取り戻し、両手を握って、フンスと鼻息を荒くする。


 冒険者ギルドに、みんなで行くことを話す。ふたりは緊張してはいたが、うなずいた。


 お昼過ぎに、小屋をしまい、テリーを背負って、町を歩く。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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