表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

614/648

614【疲れ】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 身体が弛緩したのを見て、栄養ポーションを必要以上に飲ませるのをやめた。

 女の子には、マナミが作り置きのスープを飲ませる。声を掛けながら、スプーンでひと口ずつ。

 服はマナミの服を着せたようだ。すごいダブダブ。それでも裸のままよりはいい。

 別のマットの上に彼女を座らせる。しばらくすると、コクコクと舟を漕ぎ出す。

 マナミがそっと横たえると、眠ってしまった。


「さて、とりあえず助けたわけだが」

「連れていくわけには、いきませんよね」

「ああ。かといって、置いていくと、同じことの繰り返しで、今度こそ死ぬだろうな」

「ええ」

「誰かに相談するにしても、なぁ」

「《タイガーヘッド》には?」

「彼らか。少なくともギルマスに相談してみるか」

 ふたりをマナミに任せて出掛ける。


 お昼過ぎに出た冒険者ギルドに到着。もう陽が傾いて、色が変わってきている。

 受付嬢がオレに気付き、にこやかになる。

「どうかされましたか?」

「ギルマスに会いたい。町に関することだ」

 最後のひと言で、彼女の顔が引き締まった。

「確認してまいります」と二階へと上がっていく。

 ギルド内は、少しずつ冒険者が集まってきている。掲示板の板は外されているので、依頼達成の報告に来ているのだろう。

「サブ様」と声が掛かり、振り返ると、さきほどの受付嬢。「どうぞ」


 執務室に入る。

「もう出立したと思ったが」とギルマス。

「時間も時間だったから泊まることにしたんだ」

「なるほど。それで? 町のことと聞いたが」

「この町では、浮浪児の扱いは?」

「浮浪児?」と眉間にシワが寄る。「町にはいない。どこからだ?」

「その町の中だ。餓死しかかっていたのを保護した」

「なんだと!」とイスから立ち上がる。「いや、済まない。驚いたものでな。それで?」

「軽い風邪にかかっていた。ひもじくて抵抗力が下がっていて、やられたようだ」

「大丈夫なのか?」

「一応、一命は取り留めた」

「ありがとう」

「いや。だが、ひとりならともかく、兄と妹のふたりだ。誰も見ていないなんてあるか? 見ていて知らん振りしてるのか?」

「そんな……はずは」と声が小さくなっていく。

「ともかく、オレたちも旅の途中だ。連れ歩くわけにもいかない」

「そうだな。動かせるか?」

「まだ、意識が戻っていない。妹の方は大丈夫だが、声が出せないようだ」

「それは、生まれつきか?」

「おそらく。外傷はなかった」

「そうか。こちらで調べてみる。特徴は?」と机の上の板とペンを取り上げ、メモを取る体勢に。

「タヌキ獣人。兄は十歳より上。妹は下。服装はズタボロ。裸足だった」

 板からペンを離し、こちらを見るギルマス。

「タヌキ獣人か。町では見ないな。余所から入ってきたのかな」

「わからん」

「だな。いつまで居られる?」

「とりあえず、兄の意識が戻るのを待つ。その上で、引き渡したい」

「わかった。宿屋は?」

「昨日泊まった宿屋に拒否された。仕方なく、広場だ。小屋が立っている。そこにいる」

「小屋? まぁいい。わかった。何かわかったら、頼む。オレはここに詰めているから」

「そうか。助かる。じゃ」


「ギルマスに調べてもらうことになった。この町では、彼らのようなタヌキ獣人はいなかったそうだ」

「じゃぁ、外から?」

「馬車に隠れて来たのかもしれない。ふたりは?」

「変わりなく」とそちらを見るマナミ。

 オレも見る。とりあえず、ふたりとも眠っている。

 鑑定さんで見ると、兄は小康状態。

 妹は書字板を胸に抱えて離していない。気に入ったのかな。まぁ、予備はあるから、別に構わないが。


 簡単な食事を摂り、お茶休憩したあと、交代で寝ることにして、先に寝てもらった。

 別に意味はない。それでも彼女の方が疲れているように見えたのだ。

 鑑定さん、よろしく。精神的な疲れか。ほかにこれといって支障はなさそうだ。

 とはいえ、鑑定さんも万能ではない。そこは気を付けないとな。


 深夜、交代前に、兄が熱を上げてうなされる。いい傾向だ。身体が病に抵抗しようとしている。

 冷水に漬けて冷やしたタオルで、額を冷やす。

 マナミを起こそうか迷ったが、結局起こして、診てもらった。

「よかった。抵抗力が良くなっています」

「それは朗報だな」

「休んでください。交代します」

 お言葉に甘える。


 あと二回、交代。

 そのあいだ、妹はときたま、まぶたを開けたが、すぐ眠った。ようやく安心できるところで寝ているのだ、とわかったのだろう。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ