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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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607/648

607【魔導バイクの操作】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 翌朝。

 寝ているあいだの魔獣の襲撃はなかった。

 だが、外を見ると、雨は降り続いていた。

「どうします?」

「微妙」

 別に浸水があるわけではないが。雨量がある。おそらく、街道は川になっているのではないかと思うくらいだ。こちらは街道よりも一段高いので。そうでもないが。

「ようすを見よう」


 朝食を食べ、お茶休憩。

 お互いに、何かをして、過ごす。暇潰しだ。まぁ、必要がないことでもないので、いい時間の過ごし方ではあるのだが。


 ひと段落するごとに雨量のチェックを行なっていたが、昼前にようやく小雨になってきた。

 空を見上げると、雲も白く、千切れはじめていた。

「行けそうだよ」

「そうですか。昼食はどうします? ここで食べるか、上で食べるか」

「上で食べよう。この状態が続くとも限らない。進んでおこう」

「わかりました」


 準備して、小屋から出る。

 小雨状態。

 小屋をしまい、バイクを出す。そのあいだは、結界を張って、傘代わりにする。

 バイクを上昇させて、木々の上に出ると、風に流されはじめた。

「流されてるな」

「強いですね」

 昨日の吹き下ろしよりも流される。

「高度を下げて、街道を行く」

 街道は風は吹いても、流されることはない。人には注意が必要だが、そこは索敵さんに頼る。

 スピードはそれほど上げられない。横風に煽られて、ふらふらしているから、制御も難しいのだ。


 そんなこんなで、一時間ほど集中しての運転を続けたが、馬車留めで休憩する。

「こりゃ、疲れる」

「代わりましょうか?」

「いや、何か手を考えてからでないと、続かないよ、これは」

「どうするんです?」

「そうだな」と考える。

 マナミがお茶を出してくれたので、ありがたく飲む。

 ふうっと息が出る。

「こんな風でもヨットだったら、進むんでしょうね」

「ヨットか。帆でも立てる? 制御が大変そうだけど」と笑う。

「素人が手を出しても大丈夫てす?」

「無理だろうねぇ。優雅に見えて、結構いろいろと操作が必要だし」

「ですよね。簡単そうに見えるんですけど」

「うん。大御所俳優が出てた昔の映画で、ヨットをする場面があったけど、引っ張ってるようなのがあったな」

「車を引っ張って、車内を撮影するとか?」

「そうそう。しかし、これといって、アイディアが出てこないな」

「仕方ないですよ。たぶん、ふつうの馬車でも走りづらいんじゃないですか?」

「たぶんね。ということで、前進しよう」

「やらせてもらえますか? 慣れておきたいので」

「ふむ。そうだな。頼む」

「はい」

 マナミと運転を代わり、操作を任せる。


 操作方法は、前のバイクと同じだが、一度だけしか乗っていないので、風の中をコントロールするのに苦労するマナミ。


 三十分ほどで音を上げた。

 オレと交代すると、座席でぐったりする。

「ご苦労様」

「訓練の方がいいですよ、これ」

「あはは。では、行きますよ」

「はい」


 結局、その日は、彼女と交代しながらの旅になった。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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