607【魔導バイクの操作】
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今話は、少し短めです。
翌朝。
寝ているあいだの魔獣の襲撃はなかった。
だが、外を見ると、雨は降り続いていた。
「どうします?」
「微妙」
別に浸水があるわけではないが。雨量がある。おそらく、街道は川になっているのではないかと思うくらいだ。こちらは街道よりも一段高いので。そうでもないが。
「ようすを見よう」
朝食を食べ、お茶休憩。
お互いに、何かをして、過ごす。暇潰しだ。まぁ、必要がないことでもないので、いい時間の過ごし方ではあるのだが。
ひと段落するごとに雨量のチェックを行なっていたが、昼前にようやく小雨になってきた。
空を見上げると、雲も白く、千切れはじめていた。
「行けそうだよ」
「そうですか。昼食はどうします? ここで食べるか、上で食べるか」
「上で食べよう。この状態が続くとも限らない。進んでおこう」
「わかりました」
準備して、小屋から出る。
小雨状態。
小屋をしまい、バイクを出す。そのあいだは、結界を張って、傘代わりにする。
バイクを上昇させて、木々の上に出ると、風に流されはじめた。
「流されてるな」
「強いですね」
昨日の吹き下ろしよりも流される。
「高度を下げて、街道を行く」
街道は風は吹いても、流されることはない。人には注意が必要だが、そこは索敵さんに頼る。
スピードはそれほど上げられない。横風に煽られて、ふらふらしているから、制御も難しいのだ。
そんなこんなで、一時間ほど集中しての運転を続けたが、馬車留めで休憩する。
「こりゃ、疲れる」
「代わりましょうか?」
「いや、何か手を考えてからでないと、続かないよ、これは」
「どうするんです?」
「そうだな」と考える。
マナミがお茶を出してくれたので、ありがたく飲む。
ふうっと息が出る。
「こんな風でもヨットだったら、進むんでしょうね」
「ヨットか。帆でも立てる? 制御が大変そうだけど」と笑う。
「素人が手を出しても大丈夫てす?」
「無理だろうねぇ。優雅に見えて、結構いろいろと操作が必要だし」
「ですよね。簡単そうに見えるんですけど」
「うん。大御所俳優が出てた昔の映画で、ヨットをする場面があったけど、引っ張ってるようなのがあったな」
「車を引っ張って、車内を撮影するとか?」
「そうそう。しかし、これといって、アイディアが出てこないな」
「仕方ないですよ。たぶん、ふつうの馬車でも走りづらいんじゃないですか?」
「たぶんね。ということで、前進しよう」
「やらせてもらえますか? 慣れておきたいので」
「ふむ。そうだな。頼む」
「はい」
マナミと運転を代わり、操作を任せる。
操作方法は、前のバイクと同じだが、一度だけしか乗っていないので、風の中をコントロールするのに苦労するマナミ。
三十分ほどで音を上げた。
オレと交代すると、座席でぐったりする。
「ご苦労様」
「訓練の方がいいですよ、これ」
「あはは。では、行きますよ」
「はい」
結局、その日は、彼女と交代しながらの旅になった。
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