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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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606/648

606【初日の野営】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 その後は、コースからズレることはなくなり、夕方に野営場所を見つけて、着地した。

 そこは、街道から少し入ったところ。街道からは注意して見ないと、わからない場所だった。

 木々の密度が薄く、ぽっかりとした感じで、空間があった。

 魔獣も小型がいるくらいで、それほど心配するほどでもなかった。

 その空間に、野営を設営しようと、動き出したときに、マナミが上空を見上げた。

「サブさん、雨が来ます」

 オレも見上げると、真っ黒な雲が覆っていた。

 オレの顔にポツリと大粒がぶつかる。

「ヤバい! 小屋を出そう!」

 バイクをしまい、そこの空間に小屋を出す。広さがギリギリではあったが、収まった。

 急いで、小屋の中へ。

 雨音が凄まじくなった。外を見ると、土砂降り。

「危なかったな」

「ですね」

 雨音が酷くて、魔導具で遮音する。

「これで良し。おそらく、春になって気温が上がったことで、気象が不安定になって、それで降り出したんだろう」

「そうですね。あの、調理しても大丈夫ですか?」

「ああ」

 この小屋には、台所はない。だから、テーブルを出し、そこに魔導コンロを出しての調理になる。それでも外での調理に比べれば、手間が掛けられる。

 事前に野営での調理については、マナミから相談されていたので、決めてあった。

 通常の野営では、基本的には作り置きを。小屋を出したら、自由に調理を、と。


 マナミが食事を作っているあいだに、オレは小屋の中にいろいろと準備していく。

 この小屋には、トイレとお風呂がないのだ。そこで、個別に作り、設置する形にした。さすがにバスルームは無理だが、シャワールームは大丈夫。その分、狭くなるが、ふたりが少し生活する程度なら、不自由には感じないだろう。


 夕食を終え、お茶休憩。

「今日は予定どおりの距離ですか?」

「おおよそね。明日からは、ポイントを決めて、直線距離で飛ぶつもり」と地図を出して、指差す。「途中、森の奥をとおることになるが、高度を上げて、魔獣を刺激しないで行く」

「明日も雨だった場合は?」

「ふつうの降りなら飛ぶ。大雨ならここで待つ。この雨だと、危なそうだからね」

「いいと思います」


「不寝番は、どうします?」

 お茶を啜っていると、そう聞かれた。

「索敵さん任せにしようと思う。この雨で、動きまわる魔獣もいないだろうし。いても近くに来れば、索敵さんが起こしてくれる」

「そのときは、起こしてくださいね。ひとりで倒そうとしないで」

 心配そうにそう言われては、無下にもできない。

「わかったよ」

「本当に?」と怪訝そう。

「本当に。約束します」

「よろしい」と笑顔を向けてくる。

 マナミには、叶わないな。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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