604【後発隊の出発】
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今話は、ちと短めです。
春も陽射しが暖かくなり、ナターシャの容態も今後の心配がなくなった。
朝食を食べ、装備を整えて、玄関ホールに。そこでナターシャとランドルフにしっかりと釘を刺す。
「ナターシャ、薬は飲むように。ランドルフ、飲ませろよ」
「わかった」
「あと、軽い運動はいいけど、冒険者的な動作は、厳禁です。わかりますね?」
ナターシャが大人しくうなずき、口を開いた。
「体内で患部が開いて、治癒できなくなります」
「そうです。そうなってもここには、治癒師がいません。いいですね?」
「はい」
「大丈夫だ」とランドルフ。「オレがそんなことはさせない」
「ランドルフ、おまえにも言っておくぞ。彼女を過保護に扱うな。ほどよい運動は必要だし、彼女が不満を溜め込むことになる。そうなったら、治るどころか、悪くなるからな」と釘を刺す。
「お、おう。わかった」
「それから、冒険者ギルドには顔を出すようにしとけよ。頻繁でなくてもいいからな」
「おまえたちの報告を待つ」
「あと、ドネリーに言って、冒険者研修をやらせてもらえ。そういうの、得意だろ」
「そうだな。話をしてみる」
「マナミは、なんかあるか?」
「ナターシャさん、ランドルフさんがウザくなったら、わかってますね?」
ナターシャが笑顔でうなずいた。
「ええ。いい助言をありがとう」
オレとマナミは、みんなに見送られて、屋敷をあとにした。これから、王都に向けて出発だ。
冒険者ギルドに寄った。
すぐに執務室にとおされた。
「その格好、出るのか」
「ああ」
「気を付けてな」
「ありがとう。それと、ランドルフからあとで相談があると思うが、冒険者研修をやらせてやってくれないか?」
「研修か。それはありがたい。S級冒険者のランドルフなら、引く手数多だろう」
「まだまだな冒険者が結構いるからな、この町は」
「ああ。助かる」
それで冒険者ギルドをあとにした。
徒歩で町門を潜り、ひとまず街道へと出る。
索敵さんで、周囲に人がいないことを確認して、魔導バイクを出した。
「まずは試験飛行で行くよ」
「はい」
魔導バイクは、すでにテストしてある。でもそれはちょっと飛ばしただけで、性能を試したわけではないので、ここからある程度試していくことになる。
魔導バイクにふたりで乗り込み、まずは浮遊。充分な高さで、ゆっくりと前進。速度は、早足くらい。
しばらくは慣らし運転みたいな感じで進む。
「スピードを上げるよ」
「はい」
早足から駆け足くらいに。
「推進器も順調だな」
「前のバイクよりも静かなんですね」
「それなりの音がしていたからさ。防音結界を小さく張ってるんだ」
「あぁ、なるほど。それなら人には気付かれませんね」
「さすがに近付くと、わかるだろうけどね」
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