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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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603/648

603【届いた書簡】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、短めです。

 そんな毎日を過ごしているオレたちの屋敷に、客人が来た。

「すまんな、突然来て」

 なんと冒険者ギルドのギルマス、ドネリーだった。

 彼とは、雪掻き作業でも、たいして会うこともなかった。

 それなのに、なぜ?

「別にオレが来る必要もなかったんだがな」

「なら、なんで?」

「これだ」

 そう言って、差し出されたのは、ひとつの書簡、それも獣皮紙にリボンが巻かれ、封印が押されたもの。

「オレたちへの指示書とともに、それが届いた」

 封印のロウにある紋章には、見覚えがあった。

「なんの用だよ」

 呆れながら、その封印を破り、書簡を広げた。

 それを読んでから、オレは肩を落として、それからドネリーに向く。

「ありがとう、届けてくれて」

「いや。国王の紋章があると、オレもおいそれとは扱えないからな。それで、困りごとか?」

「困りごとだよ。オレにとっては。ありがとう。ともかく、出発するときは、ギルドに寄るよ」

「仲間と合流するんだったな」

「ああ」

 とりあえず、彼は安心して帰っていった。


 玄関ドアを閉じた。

「どうかしたんですか?」とマナミ。

 近くにいたようだ。

 オレは黙って、書簡を彼女に渡した。

 書簡を読む彼女。

 それから、ああ、と呟いた。

「なんとなく、そんな気はしていました」と諦めている。

「オレも薄々。しかも、こちらの状況をわかった上での、それだからな」

「ですね。なんでわかるんでしょうか?」

「最初は、諜報員とかがあとをついてきているんじゃないかと思ってた。でもウーちゃんでの移動に、やすやすと付いてきてる。“ドローン”かもとも思ったけど、索敵さんには反応ないし」

「謎ですね」

「うん。どっちにしろ、行くしかないよ」

「ですね」

 ふたり揃って、ため息ついた。


 書簡は、王城への召喚を意味する命令書だった。どうして召喚することになったのかは、書かれていない。

 ただ、連名にはシャーラちゃんの名前も書かれていた。しかも彼女が書いたと思われる筆跡で。

 ならば、それほど困った状況ではないだろうと楽観的に思えた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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