603【届いた書簡】
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今話は、短めです。
そんな毎日を過ごしているオレたちの屋敷に、客人が来た。
「すまんな、突然来て」
なんと冒険者ギルドのギルマス、ドネリーだった。
彼とは、雪掻き作業でも、たいして会うこともなかった。
それなのに、なぜ?
「別にオレが来る必要もなかったんだがな」
「なら、なんで?」
「これだ」
そう言って、差し出されたのは、ひとつの書簡、それも獣皮紙にリボンが巻かれ、封印が押されたもの。
「オレたちへの指示書とともに、それが届いた」
封印のロウにある紋章には、見覚えがあった。
「なんの用だよ」
呆れながら、その封印を破り、書簡を広げた。
それを読んでから、オレは肩を落として、それからドネリーに向く。
「ありがとう、届けてくれて」
「いや。国王の紋章があると、オレもおいそれとは扱えないからな。それで、困りごとか?」
「困りごとだよ。オレにとっては。ありがとう。ともかく、出発するときは、ギルドに寄るよ」
「仲間と合流するんだったな」
「ああ」
とりあえず、彼は安心して帰っていった。
玄関ドアを閉じた。
「どうかしたんですか?」とマナミ。
近くにいたようだ。
オレは黙って、書簡を彼女に渡した。
書簡を読む彼女。
それから、ああ、と呟いた。
「なんとなく、そんな気はしていました」と諦めている。
「オレも薄々。しかも、こちらの状況をわかった上での、それだからな」
「ですね。なんでわかるんでしょうか?」
「最初は、諜報員とかがあとをついてきているんじゃないかと思ってた。でもウーちゃんでの移動に、やすやすと付いてきてる。“ドローン”かもとも思ったけど、索敵さんには反応ないし」
「謎ですね」
「うん。どっちにしろ、行くしかないよ」
「ですね」
ふたり揃って、ため息ついた。
書簡は、王城への召喚を意味する命令書だった。どうして召喚することになったのかは、書かれていない。
ただ、連名にはシャーラちゃんの名前も書かれていた。しかも彼女が書いたと思われる筆跡で。
ならば、それほど困った状況ではないだろうと楽観的に思えた。
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