060【登録と冒険者の矜持】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
「ふむ……冒険者として、登録をしないか?」
「なぜです? 登録しても、商人ですから一箇所に留まることはありませんし、採取や討伐任務に従事することもありませんよ。剣だって振るえないし、攻撃魔法も使えない。だから護衛を雇っているんです」
「なるほど。わかった。率直に話そう。ほかのメンバーたちから苦情とでも言うかなんと言うか。今回の討伐に、冒険者ではない一般人を巻き込んだことで、彼らの冒険者としての誇りが傷ついているんだ」
「はい?」
「オレたち冒険者は、イザというときは、身を挺してでも人々を守る、という暗黙のルールを持っているんだ。そこに一般人を巻き込んだ。まぁ、サブからしたら理解できないかもしれないがな」
「それで冒険者登録させて、仲間なんだ、と?」
「そういうことだ」
「しかし、登録しても依頼を受けねば、登録抹消もあるのでしょう? 意味ないでしょう?」
「よく知っているな、そのとおりだ。だが、そこには例外がある」
「例外?」
「上級冒険者という例外だ」
「それって、ギルドからの強制依頼は断れないっていう話なのでは?」
「嫌か」
「嫌ですね。ランドルフみたいに断れずに自分が死ぬ思いするだけでなく、仲間も死ぬなんて。自分にそれだけの能力があるならばともかく、私にはそんなものはありません」
「しかし、ランドルフに、ウルフの群れをほぼ単独で倒した、と聞いたぞ」
オレはランドルフを睨んだ。
ランドルフは、肩をすくめただけ。
「魔導具を使っただけです。先日、《夜明けの星》がウルフの毛皮を買い取りに出しましたが、あれがそれです」
「あぁ、斬ったあとのないヤツか。どうやった?」
「だから、魔導具で雷を発生させて、心臓を止めただけです」
「雷? にしては、焼け焦げもなかったが」
「もちろん、その程度に抑えて使いましたからね」
「その魔導具、あるか?」
ひとつ、出して見せる。
「それ、起動後、ひと呼吸で雷出るタイプだからね」
ここで起動しないでよ。
「どのくらいの範囲に?」
「半径五歩ほど」
「止めるには?」
「十数えて、勝手に停止」
「なんか魔導ランタンに似ているな」
「ランタン、改良したからね」
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




