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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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595/648

595【手術の決定】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、短めです。

 ときおり、ナターシャが痛みに耐える場面もあったが、ランドルフがそばにいたおかげか、おおむね元気にしていた。

 代わりにランドルフが少し痩せたが。まぁ、心配することしかできないからな。


 毎日の検診をオレとマナミでやる。マナミが魔力で魔素の流れを確認。オレが鑑定さんで確認。


 その日、検診を終えたオレたちは、お互いに顔を見合わせ、それからうなずいた。

 ナターシャに向き直る。

「ナターシャ、数減らしは功を奏した。あなたさえ良ければ、明日、大物を仕留める」

 彼女とランドルフが笑顔で向き合う。それから、オレを見た。

「お願いします」

「わかった。オレたちも最善を尽くす。だから、最後まで諦めないで欲しい」

「もちろんです!」

 力強い返事をもらった。

 オレもうなずく。


 執務室に明日の手術スタッフを集めた。

「明日、手術する」

 みんなも硬い表情でうなずく。

「これまでの練習で、失敗の可能性はほぼなくなったと思う」

 手を上げたのは、エイジ。

「ひとつ、気になっていたんですが」

「言ってくれ」

「もしも出血が止まらなかったら?」

「そこはオレもどうするか悩んだ。そこで」オレはアイテムボックスから、あるものを出して、テーブルに置いた。

「これは?」

「彼女の血を使った専用のポーションだ」

「専用の?」「血を使った?」とエイジとケイナが怪訝な表情になる、

「ふつうのオレのポーションは、効きすぎて、ガンの増殖につながるんだ」

「あっ、そうか」とエイジ。「人体の細胞を活性化して、患部を治すから、そうなるのか」

「そうだ。そこで、彼女の血を入れて、彼女の身体に合わせたポーションを作ったんだ。ガン細胞は、もとは同じ細胞だが、それが変異してガンとして増殖する。変異してしまっているから、これが効くことはない」

「だから、専用なのか」とケイナも納得する。

「そう。しかも大量に作ったから、大量出血でも対応できるはずだ」

「それを切除後の肝臓に掛ければ――」とケイナが続けようとするのを遮る。

「いや、掛けない。もともと肝臓の回復速度は早いんだ。そこに掛けてしまうと、異常な速度で増殖して、肥大化する可能性がある」

「言われてみれば」

「ただ、縫合したあとには使うつもりだ。手術痕だけでもなくなれば、身体も健康に近くなるからな」

「なるほど」

「縫合糸は数日後に抜糸する。念のためだ」

 うなずくみんな。

「唯一の懸念材料は、本番だということだな。ウルフとの違いとか、患部の状態とか、その他想定外のことだな」

「そこは」とマナミ。「最初からわかっていたことです」

「そうだな。ともかく、道具の用意もできた。練習もしてきた。念のためのポーションも用意した。あとは、やるたけだ。頼む!」

 おう!と応えが返ってきた。頼もしい。


「えっ、明日やるの?」とダルトン。

 夕食後のお茶休憩で、そのことを話した。

「ああ。ナターシャの身体も、道具の用意も、オレたちの練習も、すべて準備完了した。あとはやるだけだ」

 ダルトンが手術スタッフ全員を見回す。

「みんな、いい顔してる。イケそうだね」

「もちろんだ」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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