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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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585/648

585【ふつうの女の子?】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、短めです。

 商店街の雪は、雪掻きしたのか、道脇に積まれていたが、人が歩ける程度には道ができていた。

 店に入る。とドアベルが鳴り、来客を知らせると、奥から女性が出てきた。

「いらっしゃい。あら、いつも皆様にご贔屓いただいています」

 あぁ、みんな、ここに買いに来てたか。

「こちらこそ。今日はこの子たちの服をお願いします。下着に靴下、室内着、それと外出着。あと、靴もあれば」

「ありますよ」

 外出着と靴以外をとりあえず三つずつ。

「あの」とビガー。「いいんですか?」

「必要だから買う。それから髪も身体も洗ってもらうからな、毎日」

「ま、毎日!?」

「何を驚く? ここは、温泉街だぞ」

「いや、でも」

「清潔にしろ、と言っているんだ。身ぎれいにしていないと、いくら働き者でも置いておけないぞ」

「あ、はい」

 ふたりを女性に任せて、オレも服を見繕う。それなりに着替えはあるが、くたびれてきてもいるのだ。ここらで新調しよう。

 新調とはいえ、中古服も多い。それに日本のように既製品とかのサイズ表示もない。着てみないと、それが自分に合っているかもわからないのだ。

 まぁ、ここはほかに比べて、新品も多いから助かる。中古服も仕立て直ししているから、風合いもいいのだが、日本人としては新品を求めてしまうのも無理はない。


 ひととおりの服を台に置き、女性が見繕うのを待つ。

 そのようすを見ていて、気付いた。

 ソニンがどこかしら笑顔で、服を取っ替え引っ替えしているのだ。やはり、女の子だからなのかな?

 反対に、ビガーは早々に決めてしまっていた。

 彼を手招きして、持っていた服を取り上げ、台に置く。

「ソニンは、服が好きなのか?」

「わかりません。あんなソニン、初めてで」と自分の妹を首をひねって見ている。

「初めて?」

「……実は」とオレを見てから、口を開くビガー。「母が死んでから、ようすが変わってしまって」

「どんな風に?」

「なんか、ソニンではあるんです。でもソニンではないんです。どう言えばいいのか」と眉間にシワを寄せるビガー。

「ビガー、それはソニンが人に危害を加えるとかではないんだろう?」

「はい。ソニンも戸惑っているみたいで」

「ともかく、今は問題にするようなことではなさそうだ。気にするな」

「はい。ありがとうございます」


 ようやく、服が決まって、買い物を終了。マジックバッグに買い物をしまい、店を出て、道を歩く。

 ソニンは新しい靴を汚したくないと、古い靴を履いて歩く。それに倣い、ビガーも。


 商店街を外れると、さすがに雪が積もっている。子どもが行けないこともなくはない。しかし、オレまで、それをするのもイヤだ。

 雪の上に、大型ソリを出す。護衛任務で雪に降られることを想定して用意していたものだ。結局、使わずに済んだが。

「さぁ、乗って」とソニンを抱き上げて乗せる。

 ビガーも戸惑いながらも乗る。

 オレは腰にソリのロープをくくりつけ、浮遊の魔導具を起動。

 屋敷へと向かう。

 ほへーとしているビガーと違い、ソニンは声を上げて楽しそうだ。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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