058【安堵と宴】
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少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
周囲の警戒を数人に任せて、オークの回収を急ぐ。マジックバッグを出してはオークを入れる。もちろん、手分けして。
マジックバッグは、重量軽減のもの。いっぱいあるからね。
総数四十三体。ジェネラルとキング、一体ずつあり。
オーク肉は、それなりにうまいらしく、需要がある。討伐依頼の報酬と素材が売れるぞと、みんな、ホクホク顔だ。
洞窟内には、オークたちの生活雑貨があるだけで、目ぼしいものは何もなかった。
洞窟の入り口は、魔獣が住み着かないように、封鎖された。場合によっては、盗賊の住処にもなるという。
オークたちが建てたテントは壊した。薪になりそうなので、オレが回収。
広場は自然と荒れていくだろう、というのでそのまま放置。
馬車に乗り込んで、ゆっくりと帰る。まぁ、見回りのオークがいる可能性はあるが、その程度だろう。
村に到着すると、門衛たちが、心配そうに尋ねてくる。“どうなった?”と。
みんなが笑顔を見せただけで、わかったようだ。彼も笑顔になる。
冒険者ギルド前には、人々が集まっていた。オレたちの誰かを心配してか、オークがどうなったのか心配してか、今後のことを心配してか。不安げな顔、顔、顔。
馬車を降り立つランドルフが人々を見回し、高らかに宣言した。
「オークの討伐は、完了した! もう心配はない!」
それで、人々は安堵の息をつく。
その夜は、討伐メンバーと村の人々で、宴が催された。オレたち、異世界人は参加を断り、宿屋の一室に引っ込んだ。
「お疲れ様、みんな」
「「「「お疲れ様でした」」」」
「マナミ、怖くなかったか?」
「ちょっと。でも落ち着いてできたと思います」
「うん。頼んでよかったよ。三人も頑張ったな」
「オレたちは、息の根を止めただけで、そんなには――」
「わかってる。でもあのオークの数を剣だけでやるのは無謀だ。例え、勇者と賢者でもね。もちろん、オレなんかだと一蹴されていたよ。適材適所さ。さあ、オレたちはオレたちでオーク肉を楽しもう」
そう、先に倒したオークの肉をもらってきたのだ。
「とはいえ」とマナミ。「焼くしかないですけどね。味も塩コショウだし」
「スープはもらっておいたから、そこに入れてもいいんじゃない?」
「そうですね」
それぞれ担当して、調理を進めて、オレたちの宴と相成った。
オーク肉、うまかった。
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