表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

576/648

576【オーガたちのようすと彼らの集落】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、長めです。

 翌朝。

 朝食を食べて、軽くお茶を飲み、装備を整えると、屋敷を出た。

 馬化ウーちゃんとラキエルに引っ張ってもらい、空を行く。

 冒険者ギルドには、何も言わずに。


 十分もせずに到着。

 オーガたちは、やはり固まっていた。

 オレたちは、ロープから手を離して、地上へと降りる。

 ウーちゃんとラキエルも。

 オレたちの姿を見て、騒ぎ出すオーガたち。だが、一匹のオーガの叫びに、みな静まった。

 その一匹ともう一匹が前に出てきた。

 叫んだのは大きく、もう一匹は小柄で幼い感じ。

 代表者か?

「みんなはここで待機。ダルトン、来てくれ」

「もしかして、話し合うつもり?」

「向こうも話があるみたいだからな」

 ふたりで、二匹の近くまで進む。とはいえ、五メートルは離れたところまでだ。

二匹が顔を見合わせると、うなずく。こちらを見た。小柄な方が、口を開く。

「言葉、わかるか」

 すでにオーガ語に切り替えてある。

「オレ、わかる。話す、するか」

「話す、する。オレ、長、息子」

「オレ、彼ら、長」

「オレたち、闘う、しない」

「わかった。オレたち、闘う、しない」

 それでホッとしたようだ。

「ここ、オレたち、集落、したい」

「ダメ」

「もう、人間、いない」

「ダメ。人間、戻る」

「オレたち、安心、欲しい」

「オレたち、安全、欲しい」

「ほか、集落、作れる、ところ、ないか」

「おまえたち、集落、どうした」

「襲われた、アーマードベアに」

 はぁ!?

「アーマードベア、三匹か」

 うなずく二匹。

 オレは頭を抱えた。

 あいつら、何やってんだよ。

 ダルトンがオレを突く。振り返る。

「どったの?」

「アーマードベア三体に集落を襲撃されたんだと」

「はぁ!? あいつら? 何してんの」

「同意見」

「それで?」

「ここを新たな集落にしたいって言うから、ダメだって言った」

「当然だね」

「ともかく話し続けるよ」と前を向く。

「アーマードベア、三匹、倒した。安心しろ」

 二匹があんぐりと口を開ける。

「アーマードベア、オレたち、倒した」

 二匹が顔を見合わせる。それからこちらを見て、また見合わせた。

 まぁ、証拠もないしな。倒したアーマードベアは、冒険者ギルドだし。キラービーを見せても意味がわからないだろうし。

 長の息子が、口を開く。

「おまえたち、強い、知ってる。オレたち、かなり、やられた。おまえたち、空飛ぶ。目潰し、使う。なのに、誰も、殺す、しない。なぜ」

「ここ、人間、弱い。だから、逃がす。おまえたち、殺す、必要、ない」

「アーマードベア、倒した。なぜ」

「アーマードベア、人間、襲った。だから、倒した」

 二匹が顔を見合わせて、うなずく。

「ここ、諦める。安心、集落、欲しい。頼む」

「探す、自由」

「オレたち、疲れた。休む、したい」

 振り返って、ダルトンに話す。

「ここを諦めるから、安心できる場所を提供してくれだって」

「なんで? 自分たちで探せばいいのに」

「疲れて、そんな余裕もないんだそうだ」

「で? そんな場所、あるの?」

 索敵さんで、条件を決めて、探してみる。あるにはある。条件を変えて、周辺をチェックする。

「とってもおあつらえ向きな場所があった」

「あるもんだねぇ」

「でも彼らがそれでもいいかって話はあるからな」

「そだね。どうすんの?」

「代表者を連れていって、確認させるか」

「距離は?」

「歩いたら、一日以上掛かる。だから、ウーちゃんに頼むよ」

「だね」

 二匹にそのことを話すと、よろこんでくれた。だが、移動の距離に、拒否られた。

「大丈夫。移動、そんなに、掛かる、ない。すぐ、着く。ただ、ひとり、ふたりだけ」

 二匹が相談する。ようやくして、こちらを見た。

「オレたち、行く」

 うなずいて見せると、ウーちゃんを呼ぶ。

「ウーちゃん、馬のままで、少し大きくなれる?」

『このままではなれんな。あの二匹を乗せるのか?』

「うん」

『空間魔法に入れていけば、よかろう?』

「あっ、その方が早いか」

 二匹のそばに寄る。

「この馬、おまえたち、運ぶ」

 うなずく二匹。

 ウーちゃんは、鼻面を近付けると、まずは大きな方を収納する。それに驚いている息子も収納。

 これに驚き騒ぎ出すオーガたち。

 オレが声を張り上げる。

「落ち着け! ふたり、集落、場所、見せる! 必ず、戻す!」

 ダルトンは、仲間たちに説明してくれてる。

「ダルトン、ここを任せる」

「大丈夫なの?」

「ウーちゃんがいるから、大丈夫」

「確かに。了解」

 ウーちゃんに跨る。と、ウーちゃんが助走して、空中へと駆けていく。


 その場所には、集落跡があった。破壊の限りを尽くされていた。

 これはもしかして、オーガたちの集落跡か?

 ともかく、ウーちゃんに降りてもらい、二匹を出してもらった。

 瞬きを繰り返す二匹。しかし、まわりを見て、唖然とした。

「もしかして、おまえたち、集落か」

 二匹がうなずいて応えた。言葉にできないようだ。

「おまえたち、直す、できるか」

 息子がこちらを見た。

「難しい。みな、疲れてる。直す、大変」

「わかった」

 こりゃ、手伝うしかないか。ため息ひとつ。


 サンタナ村へと戻って、二匹を空間魔法から出す。待っていたオーガたちが、ホッとする。

 息子に声掛ける。

「集落、直す。オレたち、手伝う」

「行く、大変」

『ウーちゃん、オーガだといっぺんにどのくらい入れられる?』

『運ぶのか?』

『うん。どう?』

『魔力を考えると、一度に十匹くらいかのぉ』

『手間が掛かるけど、お願いできる?』

『仕方ないのぉ』

 仲間のところに行く。

「オーガの集落を直しに行くぞ」

「話が見えないんだけど?」とダルトン。みんなもそうらしい。

「さっき探した場所は、彼らの集落だった。アーマードベア三体に壊されてた。襲われて、仕方なく逃げてきたらしい。だが、アーマードベア三体という脅威がなくなった今、舞い戻る方がいい。しかし、集落は壊されてしまって、彼らの疲労を考えると、すぐには無理だ。そこでウーちゃんに少しずつ運んでもらって、再建する」

 この説明でわかってもらえたので、準備する。

 息子に近付く。

「十匹、動ける者、集めて。集落、直す」

「十匹だけ?」

「全員、移動する。集落、直す、進める、必要。はじめ、十匹、そのため」

 大きい方が息子の背中を軽く叩く。

 二匹は、オレの言葉にうなずいて、十匹を選んでいく。

 その十匹を収納するウーちゃん。

 ダルトンとキヨミとマナミをこちらに残し、残りの全員をラキエルに引っ張ってもらう。ウーちゃんもあとからついてくる。


 到着して、十匹を出すと、唖然としているので、やることをやらせる。まずは、塀だ。それを支援するオレたち。


 そうして、次の十匹、そのまた次の十匹という具合に、ウーちゃんによる移動が進み、塀もそれなりに整えられていく。


 最後の便で、全員が移動できた。残ってたダルトンたちもラキエルとともに到着だ。

 そこで、ランドルフとエイジとハルキに、狩りに行ってもらった。近場でオークが徘徊していたから、夕食にちょうどいいと思って。


 塀はとりあえず直ったが、さすがに家は時間を掛ける必要がある。それでも安心して眠れる場所作りが終わった。

 ランドルフたちも戻ってきて、オーク三体が出されると、オーガたちがよろこびに沸いた。

「やる。食え」

「いいのか」

「いい。オレたち、もう行く。人間、襲うな。いいな」

「わかった。ありがとう」

 オレはうなずくと、仲間たちを集め、その場をあとにした。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
・クマ撃退スプレーを携行。 ・クマに出会った時は慌てず、ゆっくり後退し、背を向けて逃げないことが大切。 注意!市の人と話してたけど街に降りて来る熊は人に慣れすぎて撃退スプレーをものともしない個体や警…
 異世界でもクマが暴威をふるっている・・・現実世界のクマもある種の進化をしていたよ魔物かよ・・・昔されていた対策の傘の連続開閉や香水の話を市の意見要望に送ったら今は効かなくなっていると話しをされたよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ