575【ウーちゃんの機嫌取り】
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今話は、短めです。
屋敷に帰ったオレは、すぐさま厨房へと向かった。女性たちが調理をする脇で、ちょっと作業する。
夕食。もちろん、全員がいる。
食事を終え、オレは立ち上がり、ウーちゃんのそばに行く。それからアイテムボックスから、厨房で作ったものをウーちゃんの前に置く。手のひら大の器に盛ったホワイトイエローの物体。
「ウーちゃん、ひとりだけ残そうとして、ごめんなさい」
ウーちゃんが渋々、口を開く。
「本当じゃ。じゃが、サブの言いたいこともわかる。それで何も言わなかったのじゃ」
「うん、ありがとう。お詫びに食べて」
「なんじゃ?」
「甘くて冷たいお菓子」
「みなには?」
「ウーちゃんだけに作ったんだ」
みんなを見るウーちゃん。
みんなは、いろんな反応。美味そうとか羨ましいとか。そんな感じ。
「良いのかのぉ」と迷うウーちゃん。
「ウーちゃん、食べちゃって」とハルキ。「食べたら感想を頼むよ」
みんなもそれにうなずく。
「そうか? わかったのじゃ」と笑顔でデザートスプーンを差し入れるウーちゃん。「おっ、意外と硬いのぉ」
デザートスプーンに載ったそれを口に入れる。
「冷たいのぉ。甘いし、すぐに溶けてしまうぞ」
「サブさん、それは?」とエイジ。
「卵を白身と黄身に分けて、砂糖を入れて、泡立てて、両方を混ぜ合わせ、冷やしたものだよ。卵アイスだね」
「アイスって、牛乳で作るんじゃ?」
「牛乳以外でも」とマナミ。「作れるわよ。“豆乳”でも“ココナツミルク”でも。卵だけってのは初めてだったけど」
「新鮮な卵がないと」とオレ。「作れないんだ。その卵が、ここにはあるからね」
「レシピはわかったから、あとで作れると思うわ」
それを聞いて、よろこぶみんな。
そんな中、ウーちゃんは、ひとりアイスを楽しんでいた。
お茶休憩。
落ち着いたところで、話し出す。
「ダルトンとも話したんだが、今日のオーガをどうするかなんだが」
全員が、身を乗り出す。
「討伐するか放っとくか。どちらとも決めかねている、というのが正直なところだ。そこでみんなの意見を聞きたい」
「現状は、どうなんです?」とエイジ。
「村のまわりで固まっている。村の中には入っていない。煉獄の実を置いてきたからな」
「なぜ、移動しないんだろうな」とハルキ。「村に何かあるのかな?」
「ケガ人がいて」とダルトン。「動くに動けないんじゃないかな」
「そこまでのケガを負わせた気がしないんですけど」
「みんなも?」
うなずくみんな。
「村人の撤退を」とエイジ。「支援するための陽動作戦でしたから」
「だよねぇ」
みんなからもいろいろな意見は出たが、埒が明かない。
「わかった。明日、全員で行ってみよう。その状況次第で、判断する。いいな?」
全員がうなずく。
「ウーちゃんもよろしくね」
「わかったのじゃ」
その話が終わったので、あとはゆったりと過ごす。
*卵アイス
AllAboutというサイトで見つけた。
「卵アイスのレシピ!
材料は卵と砂糖だけ、
簡単な卵のお菓子」
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