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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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568/648

568【ハイエルフからの要請】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 翌日。

 朝食のあとのお茶休憩。

 前日までの集中力のためか、頭がボーッしている。

 そこへキース君が駆けてきた。表情が硬い。

 みんなの空気が緊張をはらむ。

「サブさん、師匠が来てもらうようにと」

「わかった」

 みんなも動く準備をする。

「あっ、サブさんだけお願いします」

 オレが、みんなに待機するように伝える。


 ガルラのもとへと行くあいだ、キース君は口を開かなかった。おそらく、口止めされているのだろう。


 ガルラは、黒褐色の肌のダークエルフと待っていた。

「ガーネス、戻ったか」

「サブ、一緒に来てくれ」

「どこに?」

「里だ」

「えっ?」

「エルフの里だ。我らエルフの始祖ハイエルフがサブを呼んでいる」

「ハイエルフ?」

「知らぬだろうな」

「エルフの貴族様みたいなものだろう? オレ、知人でもなんでもないぞ」

 それを聞いた三人がキョトンッとする。それからすぐに笑い出した。

「間違ってたか?」

「すまん」まだ笑っているガルラ。「ハイエルフは、確かに、尊いお方だ。しかし、貴族ではない」

「サブさん」キース君もまだ笑いが収まらない。「たぶん、イメージが違います。姿かたちは、確かにエルフです。でも違うんです。森の守り神とかの方が近いと思います」

「王族だろ?」

「いいえ。王侯貴族はエルフにはいません。土地を統べるハイエルフがいて、民を統べる長老たちがいるんです。あとは、民ですね」

「“映画”や“ゲーム”や“ラノベ”の世界と違うの?」

「違いますね」

「わかった」ガーネスに向く。「それでハイエルフがオレに会いたいと?」

 うなずくガーネス。

「そうだ。サブを連れてくるように、と」

「そうか。だが、なんの用だ?」

「わかると思うか?」

「なんも聞いていないの?」

「うむ」

「今すぐ?」

 これにもうなずくガーネス。

「しょうがない。この四人で向かうの?」

「案内人兼護衛だそうだ」

「仲間には? あぁ、いいや。ウーちゃんに頼もう」

 ウーちゃんに念話して、みんなに言っといてもらう。連絡しろよ、とダルトンからの言伝ももらった。

「それとガルラ殿、大剣はどうする?」

 ここで受け渡しをした。


 四人で森に入る。

「ふたりは、入ったことがあるんだよな?」とガルラに尋ねる。

「もちろんだ。キースのことは、許可をいただいてから、入れた」

「小さなころですけどね」

「子どもでも人間族だから、入れないのかと思った」

「例外だったみたいですね」

 しばらく、歩いていると、鑑定さんが反応した。“聖霊樹の結界”に入ったと。

「聖霊樹ってなんだ?」

 三人が驚いて立ち止まった。

「あぁ、オレの鑑定スキルは、特殊でな。常時発動しているんだ。それに反応が出た。結界に入ったようだな」

「まだのはずだが」とガルラ。

「ボクも鑑定スキルはありますけど、そんなのわかりませんよ?」

「サブが呼ばれた理由のひとつかもな」

 三人がそれぞれの言葉を呟く。

「それで聖霊樹って?」

「向こうで」とキース君。「言うところの“ユグドラシル”とか“世界樹”と呼ばれるものです」

「ああ」

「でも、大木ではありますけど、そんな巨大なものではありません」

「なるほど」

 ともかく、結界を歩く。


「おかしいな」とガルラ。「警告の矢が飛んでこない」

「確かに」とガーネスも同意する。

「それどころか」とキース君。「地面を見てください。道が示されています」

 見ると、地面には、草が左右に生え、道になっていた。

「草が生えてるだと!?」ガーネスが叫ぶ。

「おかしいのか?」

「ここは、森の中だ。木々が生い茂っていて、陽が差す場所は限られる。なのに、こんなに生えてるなんて、異常だ」

「植物魔法を使えるエルフなら、ふつうだろう?」

「レベルが違う」

「ガーネス」とガルラ。「これは単なる道ではないな」

「何!?」

「本当だ」とキース君も。「いつもの道じゃないですよ、これ」

「つまり」とオレ。「ハイエルフがここを通れって言ってるんだろ。行こう」

 警戒しながら、その道を歩く。


*ハイエルフ

  ピクシブ百科事典参照。

  本作では、独特の存在。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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