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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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556/648

556【商隊を襲撃した魔獣】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 商業ギルドを出る。すると、ウーちゃんからの念話。

『どうした?』

『冒険者に招集が掛かったそうじゃ』

『みんなは?』

『今、玄関じゃ。ダルトンが連絡しろと』

『了解。冒険者ギルドで会おう、と伝えて』

『わかったのじゃ』

 念話が切れた。

 オレは冒険者ギルドを目指して歩く。索敵さんを働かせながら。


 冒険者ギルド到着は、ほぼ同時だった。

 すでにたくさんの冒険者が集まってきていた。

「マナミ、キヨミ、門に行ってくれ。ケガ人が多数出ている。ミリンダ、一緒に行って、手助けを」

 三人が門に向かう。

「サブ」とダルトン。「話は?」

「商業ギルドで聞いた。商隊が街道で魔獣に襲われたそうだ」

「具体的には?」

「知らされてない。だが、索敵さんが見つけた」そこで小声にする。「キラービーだ」

「キラッ」そこまで言って、口を手で押さえるダルトン。まわりを見る。誰も気付いていない。ホッとして追加情報を尋ねてくる。「で?」

「クイーンビーが新たに巣を作った。できた巣が街道脇で、縄張りに入ると、攻撃してくる。おそらく、それでやられたんだろう」

「うわぁ、運がないね」

「エイジ」

「はい」

「ギルマスに、オレとダルトンは斥候に出たことを伝えてくれ。すぐ戻るから安易に冒険者を動かすな、とも」

「わかりました」

 オレとダルトンは、うなずき合い、何も言わずに、浮遊する。


 街道を索敵さん頼りに進む。

 現場に到着すると、ひとりの冒険者らしき人物が倒れていて、そのまわりに十センチ弱のキラービーが何匹かうごめいていた。集団は巣に戻ったか?

「サブ、彼は?」

 鑑定さんで調べる。

「毒による麻痺状態。生きてはいるが、危険な状態だ。ここで待っててくれ。隠遁で助けを試みる」

「気を付けてよ」

「もちろんだ」

 隠遁のローブとマスクをして、ゆっくりと近付く。索敵さんにそこにいるキラービーの状態をチェックさせながら。

 動かそうとすると、キラービーが若干反応するのを索敵さんが知らせてくる。

 先にキラービーをなんとかしないとダメか。

 一旦、戻る。

 隠遁を解く。

「キラービーをなんとかしないと、動かせない」

「どうすんの?」

「鑑定さんによると、火魔法で焼くらしいな」

「そだね。でもそれやると、彼も焼けちゃうよ?」

「だよな。まぁ、魔導ライターで羽を焼けば、飛べなくなるから、それでもいいけど、その前に動き出しそうなんだよなぁ」

 鑑定さんによれば、キラービーは羽音で仲間を呼ぶそうだから、迂闊に動けない。

 アイテムボックスに何かあったかな?

「とりあえず、やっつけるよ」

「へっ?」

 ダルトンを置いて、ふたたび隠遁して、冒険者のもとに。

 まずは、彼の半径三メートルに結界と遮音の魔導具をセットして起動。もちろん、オレもキラービーも一緒だ。これでキラービーを逃さないし、羽音で仲間を呼ばれもしない。

 次に、ゴブリンを出す。

 すると、キラービーが仲間を呼ぶための羽音をうるさく鳴らす。そうして、ゴブリンに飛び付き、腹部の毒針をゴブリンに何度も刺す。

 オレはそんなキラービーに、ヒュージアントに使った閃光発生器を使ってみた。とりあえず、次々に。

 キラービーたちは、黒かった複眼が白くなり、固まった。ヒュージアントと同じだ。だが、回復秒数を知るつもりはない。

 ハサミで、次々に首を切っていく。

 討伐完了。

 すぐにアイテムボックスにゴブリンごと収納する。

 冒険者の彼を抱え上げて、歩いて戻る。

 隠遁を解くと、彼を仰向けに横たえた。

 彼を抱え、開いた口へと、解毒ポーションを流し込む。

 むせ返ることなく、飲ませ終え、ようすを見る。もちろん、鑑定さんで。

「どう?」

「毒の量が多いからか、効きが遅い。だが、命は取り留めたようだ」

 ホッとするダルトン。

「よかった。それで何をしたの? ゴブリン出して、閃光発生器が光ったのはわかったけど」

「ヒュージアントと同じだった。目が白くなって、固まった。復活する前に、ハサミで首を切り落とした」

「あぁ、なるほどねぇ」

「まぁ、その前に、結界を張って逃さないのと、遮音して仲間を呼ぶのを止めたがな」

「遮音して?」

「鑑定さんによると、羽音を鳴らすと、仲間が来るんだそうだ。応援要請だな」

「ありゃ。それで遮音か」

「うん。そろそろ動かせそうだな」

 移動する前に、百人の騎士をオーガの村に導いた際に使った柵を、街道に置いて、地面にメッセージを残す。“キラービーの巣がある。注意して進め”と。


*キラービー

  蜂型魔獣。

  現実世界では「アフリカナイズドミツバチ」

  の別名であり、強い攻撃性を持つ交配種の

  ミツバチ。

  本作品では、大きなオオスズメバチのイメ

  ージです。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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