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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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553/648

553【ガーネスの驚き】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 屋敷に到着すると、ガーネスが固まった。

 そこには、トリリーが日向ぼっこしていた。

「キャスパリーグのトリリーだ」とランドルフが固まっているガーネスに笑いながら説明する。「従魔だよ。テイマーがウチにいるんだ」

「キャスパリーグを従魔に? どれだけ強いんだ、そいつは?」

 彼も、魔獣を力でねじ伏せるのが、ふつうだと思っているのだな。

「あはは、会えば、驚くぞ」

 玄関ドアが開き、ヤルダさんが出迎えてくれる。

 帰宅の挨拶とともに、ガーネスを紹介して、中に入る。

 リビングの入り口で、そこにいるメンツにガーネスを紹介する。それからソファーに腰を下ろした。

 ガーネスがランドルフに問う。

「ランドルフ、パーティーを抜けたのか?」

「何も聞いていないのか? 《輝ける星》はもうないよ。生き残ったのは、オレとアロンソだけだ。そのアロンソも重傷を負って、引退した」

「いったいどんな依頼だったんだ?」

「ドラゴン討伐だ。国王からの依頼だから、ほぼ命令だ」

「なんと……仲間の冥福を祈る」ガーネスは黙祷を捧げる。

 少し長めの黙祷を終え、顔を上げたガーネスに、ランドルフが話す。

「それで討伐失敗となり、罰則金の支払いができずに、オレは奴隷落ちしたんだ」

「はぁ!?」とマジマジとランドルフを見る。

「奴隷落ち。それをサブに身請けされた。それ以来の付き合いだ」

「そう、だったのか」

「ああ。それで、オレを含めたこのメンツがC級パーティーの《竜の逆鱗》だ」

「パーティーとしては、多くないか?」とメンツを見る。

「いつのまにか、な」とほくそ笑む。

「とすると、最初は?」

「サブをリーダーに、オレとそこのダルトンと、そっちの若者四人だ」

「ダルトンは、小人族か」

「よくわかったね」とダルトン。

「知り合いにいてな」と笑む。「それから四人の若者は、人間族だな。同い年かな」

 四人がうなずく。本当は、男子と女子とは一年差があるが。説明が面倒だったんだろう。

「それから女性ふたり。人間族か。ふたりも四人とあまり変わらない感じだね」

 ふたりも否定はしない。確かに近いしね。

「ひとり、美しい女性がいるが」とウーちゃんを見るガーネス。「ここの女主人か何かか?」

「ウーちゃんじゃ。これでも《竜の逆鱗》のひとりじゃ」

「それは失礼を」と頭を垂れるガーネス。

「良い」と機嫌良さげなウーちゃん。

「しかし」とガーネスが続ける。「こう言っては悪いが、全員、キャスパリーグを従魔にできるほどの強さには見えないな」

「おい、ガーネス」と咎めるランドルフ。

「あぁ、悪い」

「トリリーの主は、この中にはいないよ」とほくそ笑む。

「なら、どこに?」

 そこへ、とことことトリリーの主が入ってきた。

「みなさん、お食事のご用意ができました」

「ありがとう、シャイン」とオレが答える。それから「ガーネス、彼女がトリリーの主だ」

「へっ?」

「キャスパリーグを従魔にしたテイマーだよ」

「いやいや、なんの冗談だ? どう見ても冒険者にすら見えんぞ?」

 そこで、シャインがトリリーをテイムした話をする。

「なんと、そんなことが」

「ガーネス」とランドルフ。「ここには、ケルピーもいる。テイマーは、サブだ」

「ケルピーをサブが?」

 その話もした。

「テイマーの常識は、ここにはないのか」

 それに笑いながら、食堂へと移動する。


 今日の夕食は、洋食だった。ハンバーグとスープとサラダ、それにここで焼かれたパンというシンプルなメニュー。だが、ハンバーグには目玉焼きが載っていた。

 これによろこんだのは、男子ふたり。いただきますの挨拶をしたかと思うと、バクバクと食べはじめた。

 ガーネスは、戸惑いながらも、食べはじめる。

「美味い! 初めての料理だが、肉が柔らかく、肉汁が中から飛び出してくる。この白と黄色のものはなんだ?」

「鳥型魔獣の卵だ」とランドルフ。「ここで飼ってる」

「鳥型魔獣? それもテイムしているのか?」

「いや。家畜化された魔獣だ。危険はない」

「魔獣は、危険なものだと――」

「わかっている。だが、本当にそうなんだ」

 ランドルフは説明しながらも味わいながら食べている。

 ガーネスは首を振り振り、食事を続ける。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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