553【ガーネスの驚き】
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今話は、少し短めです。
屋敷に到着すると、ガーネスが固まった。
そこには、トリリーが日向ぼっこしていた。
「キャスパリーグのトリリーだ」とランドルフが固まっているガーネスに笑いながら説明する。「従魔だよ。テイマーがウチにいるんだ」
「キャスパリーグを従魔に? どれだけ強いんだ、そいつは?」
彼も、魔獣を力でねじ伏せるのが、ふつうだと思っているのだな。
「あはは、会えば、驚くぞ」
玄関ドアが開き、ヤルダさんが出迎えてくれる。
帰宅の挨拶とともに、ガーネスを紹介して、中に入る。
リビングの入り口で、そこにいるメンツにガーネスを紹介する。それからソファーに腰を下ろした。
ガーネスがランドルフに問う。
「ランドルフ、パーティーを抜けたのか?」
「何も聞いていないのか? 《輝ける星》はもうないよ。生き残ったのは、オレとアロンソだけだ。そのアロンソも重傷を負って、引退した」
「いったいどんな依頼だったんだ?」
「ドラゴン討伐だ。国王からの依頼だから、ほぼ命令だ」
「なんと……仲間の冥福を祈る」ガーネスは黙祷を捧げる。
少し長めの黙祷を終え、顔を上げたガーネスに、ランドルフが話す。
「それで討伐失敗となり、罰則金の支払いができずに、オレは奴隷落ちしたんだ」
「はぁ!?」とマジマジとランドルフを見る。
「奴隷落ち。それをサブに身請けされた。それ以来の付き合いだ」
「そう、だったのか」
「ああ。それで、オレを含めたこのメンツがC級パーティーの《竜の逆鱗》だ」
「パーティーとしては、多くないか?」とメンツを見る。
「いつのまにか、な」とほくそ笑む。
「とすると、最初は?」
「サブをリーダーに、オレとそこのダルトンと、そっちの若者四人だ」
「ダルトンは、小人族か」
「よくわかったね」とダルトン。
「知り合いにいてな」と笑む。「それから四人の若者は、人間族だな。同い年かな」
四人がうなずく。本当は、男子と女子とは一年差があるが。説明が面倒だったんだろう。
「それから女性ふたり。人間族か。ふたりも四人とあまり変わらない感じだね」
ふたりも否定はしない。確かに近いしね。
「ひとり、美しい女性がいるが」とウーちゃんを見るガーネス。「ここの女主人か何かか?」
「ウーちゃんじゃ。これでも《竜の逆鱗》のひとりじゃ」
「それは失礼を」と頭を垂れるガーネス。
「良い」と機嫌良さげなウーちゃん。
「しかし」とガーネスが続ける。「こう言っては悪いが、全員、キャスパリーグを従魔にできるほどの強さには見えないな」
「おい、ガーネス」と咎めるランドルフ。
「あぁ、悪い」
「トリリーの主は、この中にはいないよ」とほくそ笑む。
「なら、どこに?」
そこへ、とことことトリリーの主が入ってきた。
「みなさん、お食事のご用意ができました」
「ありがとう、シャイン」とオレが答える。それから「ガーネス、彼女がトリリーの主だ」
「へっ?」
「キャスパリーグを従魔にしたテイマーだよ」
「いやいや、なんの冗談だ? どう見ても冒険者にすら見えんぞ?」
そこで、シャインがトリリーをテイムした話をする。
「なんと、そんなことが」
「ガーネス」とランドルフ。「ここには、ケルピーもいる。テイマーは、サブだ」
「ケルピーをサブが?」
その話もした。
「テイマーの常識は、ここにはないのか」
それに笑いながら、食堂へと移動する。
今日の夕食は、洋食だった。ハンバーグとスープとサラダ、それにここで焼かれたパンというシンプルなメニュー。だが、ハンバーグには目玉焼きが載っていた。
これによろこんだのは、男子ふたり。いただきますの挨拶をしたかと思うと、バクバクと食べはじめた。
ガーネスは、戸惑いながらも、食べはじめる。
「美味い! 初めての料理だが、肉が柔らかく、肉汁が中から飛び出してくる。この白と黄色のものはなんだ?」
「鳥型魔獣の卵だ」とランドルフ。「ここで飼ってる」
「鳥型魔獣? それもテイムしているのか?」
「いや。家畜化された魔獣だ。危険はない」
「魔獣は、危険なものだと――」
「わかっている。だが、本当にそうなんだ」
ランドルフは説明しながらも味わいながら食べている。
ガーネスは首を振り振り、食事を続ける。
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