547【ケイナへの説明】
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2話連続投稿します(1話目)
今話は、少し短めです。
翌日。
ケイナを連れて、冒険者ギルドに。
すぐにギルマス執務室へと案内された。
「剣士のケイナだ。彼はギルマスのドネリーだ」とふたりを紹介する。
ふたりがよろしくと握手する。それでソファーを勧められた。
ソファーに腰を下ろすと、目の前にドネリーが座る。
「ケイナは、ソロだったんだって?」
「そうだ」
「なぜ、パーティーに所属しなかった?」
「冒険者ではなかったからな」
「しかし、剣士なのだから、誰かに師事していたのだろう?」
「父が師だ。名は控えさせてくれ」
「訳ありか。わかった。別に詮索しているわけじゃねえよ。サブ、どのくらいの付き合いだ?」
「ひと月くらいかな」
「なら、だいぶケイナのことをわかったな」これは確認だな。
「それなりに」
「信用は?」
「してるよ。腕前も素晴らしいしな。何より、飯の好みが近い」
ドネリーが片眉を上げる。
「なんだ、そりゃ」
「うちのメンバーは、美味いもんが好きだからな。好みが似てるのはパーティーとしては、大事だろ」
「まぁな。飯を否定されて、パーティー解散なんてのも過去にはあったし。まぁ、そんなもんか。んで、このあとはどうするんだ? この冬って話だが」
「もう出掛けない。ここで冬籠りするさ」
「頼むぞ」
「雪掻きだろ、わかってる」
冒険者ギルドを出た。
街なかをケイナとともに散策する。
「もっと根掘り葉掘り聞かれるかと思っていた」とケイナ。
「必要以上には聞かないさ。せいぜい能力とか、犯罪歴の心配くらいだろう」
「打ち合わせしておいてよかった」
「だろ。冒険者はスネにキズを持つ者も多い。どのくらいの剣士なのかを確認できれば、問題を起こさない限り、内緒なことに口出ししないよ」
「そういうものなのだな」
話しながら、彼女と屋台で買い食いする。屋台ももうすぐ休業になる。雪が降れば、商売上がったりだからな。
「彼らは、冬のあいだ、どうするのだ」
「家の中でできる手仕事だな。人それぞれの手仕事があるらしい」
「そうか。我々は?」
「基本的に訓練が主になる。ボードゲームで遊ぶこともある。天気が良くなれば、この町の雪掻きだ。魔獣の討伐もあるな」
「どんな魔獣がいるか」
「ユキオウたちの子どもがいるが、人間には近付かないはずだ。ジャイアントディアーやアーマードベアがいたな。春近くに、レッドボアーもいたよ。あぁ、それと、広場にもいる」
「広場だと! 街なかではないか」
「心配ない。小型の魔獣だ。手を出さなければ、何もしてこないよ。ここでは、ヘッジちゃんと呼ばれてる。パラリシスポイズンヘッジホッグ、ハリネズミだな」
「大丈夫なのか」
「冬場の訓練をしたときがあって、そのときにみんながやられた。たまたまオレは屋敷にいたから、みんなを助けられたがな」
意外と買い物に時間を取られた。
屋敷に帰ったのは、夕方近くだった。
気温も下がってきていた。
「少し肌寒くなってきたな」と帰宅の挨拶とともにオレが口にする。
「そう?」とダルトンが受ける。「じゃ、本格的な冬に近付いているんだな」
「とりあえずの商店を訪ねてまわったけど、あと二日三日で閉めるかもって言ってたよ。買い出しは明日がいいかも」
「そだね」
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