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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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543【オオベ町近くの馬車留め】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


2話連続投稿します(2話目)

今話は、少し短めです。

 《守護獣の誇り》の回復を待って、その二日後。

 オレたちは、村をあとにした、馬車で。

 親方たちは、もうひと冬を村で過ごすそうだ。強い。

 オレたちが、馬車で出発したのは、たまたま冒険者パーティーが村に立ち寄ったからだ。

 彼らとは、少し挨拶した程度。


 ゴウヨーク国王都方向へと馬車を進め、最初の馬車留めで、《守護獣の誇り》をウーちゃんの空間魔法に収納した。

 それでようやくホッとしたオレたち。


「やっぱり、うちらだけの方が気楽だよな」とダルトン。それにうなずいたり、笑ったりするオレたち。

 すでに大きくなったウーちゃんの上だ。

『ワシもこの方がいいのぉ』とウーちゃんの念話。

『だよね』「ウーちゃんも同感だってさ」

 みんな、にこやかだ。

 結構な大人数になった《竜の逆鱗》だが、それでもエッへ・ウーシュカになったウーちゃんは余裕だ。

 それでももう増やすつもりはないけれど。


 そうやって、夜は、主に野営して過ごし、移動を続けた。ウーちゃんのお風呂タイムは多めにして。


 そうこうして、オオベ町手前で、ウーちゃんからラキエルにバトンタッチして馬車移動。

 オオベ町近くの馬車留めで、《守護獣の誇り》たちを馬車と馬とともに出す。馬は起きているが、ベズーラ以外は眠らされている。

 ベズーラがまわりを確認して、オオベ町近くだとわかると、オレにうなずいた。

「もうすぐだな」

「ああ。とりあえずは、ここで一泊するつもりだ。彼らが起きるのを待ってたら、夜になるからな」

「そうだな」

 《竜の逆鱗》のみんなは、すでに野営の準備を終えて、くつろいでいる。


 夕方手前。

 《守護獣の誇り》は、ぼちぼちと目を覚ましている。

 そんな中、索敵さんに反応が。鑑定さんでチェック。問題なさそうだ。みんなに声掛けの必要もないと判断。

 やがて、馬車の車輪の軋む音とともに、その馬車が姿を現した。

 ひとりの女性がこちらに駆けてきた。

「すいませ〜ん」と。「ご一緒してもいいですかぁ」

 焚き火の明かりに現れたのは、冒険者用の軽装装備の小柄な女性。一瞬、頭がないのかと思うくらいに黒い頭部。耳が飛び出ている。獣人だった。

「どうぞ」とオレが答える。場所はあるからね。無言でそばに寄られたら、それは厳重警戒するけど、こうして先触れを出すくらいのマナーのある人々なら、それほどの警戒の必要性はない。

 その獣人女性が「ありがと」と言って、踵を返し、馬車へと走る。

 その馬車が、馬車留めの後方のスペースに停車。

 少しすると、さきほどの獣人女性とともに冒険者と見られる人間族男性と商人と見られるキツネ顔の獣人男性が、こちらに来た。ほかの面々は、野営の準備をはじめている。

 冒険者男性が口を開く。

「滞在を許してくれてありがとう。D級冒険者パーティーの《天空の剣》、リーダーのマルクだ。こちらは護衛対象の」

「商人のハンデルスレーヴと申します。ハンデルとお呼びください」

「C級冒険者パーティー《竜の逆鱗》のリーダー、サブ。そちらは」

「A級冒険者パーティー《守護獣の誇り》のリーダー、ベズーラだ。よろしく」

「ありがとう」と笑むマルク。「上級冒険者パーティーが一緒なら心強い。迷惑ついでに、火をもらえないだろうか」

 焚き火から、ほどよく燃えている薪を渡すと、マルクはそれを獣人女性に渡すと、獣人女性は仲間のもとへと歩いていく。

「ありがとう」

「気にしないでくれ。それで? どうやら馬車が傷んでいるようだが」

 マルクがうなずく。

「実は、途中でオークと遭遇して、車輪に棍棒が当たって、やられたんだ。」

「人的被害は?」

「大丈夫だ。相手したオークは一匹で、オレたちが足止めしてるあいだに、馬車を逃がした。オークはそれなりに傷付けたから、倒さずに馬車に戻った。馬車には乗らずにここまで来た、というわけだ」

 マルクの腰にある鞘に剣がないことに気付いた。

「剣はどうした?」

 そう言われて、鞘を触りながら、頭を掻くマルク。

「オークとの闘いで、折れてしまった。傷んでいたから、寿命だよ。保つと思っていたんだが」

 オレはアイテムボックスを探った。それをバッグから取り出すフリして出す。

「これ、使えよ」

「えっ? そんな」

「旅の途中で、盗賊討伐した際の戦利品だ。キズはあるが、程度はいい。無手よりはあった方がいいぞ」

 本当に盗賊討伐した際の戦利品だよ。

「そうか。助かる」と受け取るマルク。

 剣を焚き火の火にかざして、状態を見るマルク。それからうなずいた。

「数打ちものだが、とてもいい状態だ。ありがとう」

 そう言って、自分の鞘に収めた。

「ちなみに」とハンデルが手揉みして問い掛けてきた。「ほかの戦利品などは?」

「金品は合同のパーティーに渡した。オレは残りをもらったよ。まだここにある」とバッグを叩く。

「お見せいただけませんでしょうか。ものによっては買い取りさせていただきたく」

 オレは快諾して、ランタンを出して、ご開陳となった。

 結局、金貨一枚程度の収入となった。ありがたやありがたや。

 ハンデルもホクホク顔だ。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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