540【対決の状況説明】
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2話連続投稿します(1話目)
今話は、短めです。
翌朝。
みんなで朝食を食べて、お茶を飲みはじめたところで、ランドルフが口を開いた。
「状況を説明して欲しいんだが。サブでいいのか?」
「そうだな。ランドルフ、ハルキ、エイジが最初に倒されたんだったな」
三人がうなずく。
「そのあと、ミリンダとケイナが同じように倒された。相手が魔弾を撃ったんだ。魔弾というのは、魔力を塊にして撃つバレットで、まったく見えない。それで五人は倒された」
「なるほど。一瞬で意識が削られて、気を失ってしまったわけか」
「そのあとで、フェンリルの息子たちとわかった。とにかく、残りの四人で固まって、背中合わせに魔法盾を構えた。キヨミとマナミを逃がそうと指示して、隠遁して上空に逃がした。が、すぐに撃ち落とされてしまった。あいつらは魔力が見えているんだ」
「魔力が」
「うん。そのあと、ダルトンが倒された」
「どうやって、逃げたんだよ?」とダルトン。
「ダルトンが倒される前に、オレは“走馬灯”を見ていた。わかるか?」
この世界の人間が首を振る。
「とても危険な状況で、死にそうな場面になると、人生の思い出が短時間に頭の中を駆け巡ることがあるんだ」
「あぁ、“一瞬の閃光”のことか」とランドルフ。
ダルトンもわかったようで、うなずく。
「“一瞬の閃光”か。実はオレの場合、解決策を探していたんだ。それで見つけた」
「なんだったのさ」
「トリリーの闇魔法だよ。この中で見たことがあるのは、ラーナだけだな」と彼女を見る。
そう言われて、ラーナが少し考え答えた。
「最初に出会ったときのアレですか?」
「うん、それ」みんなに向く。「話してなかったな。トリリーの闇魔法は、まるで瞬間的に移動するように見えるんだ。その移動を繰り返すと、攻撃しようにも目標が定められないから、すぐそばまで近寄られてしまうんだ」
「幻影魔法?」とダルトン。
「違う。簡単に言うと、見えない布に隠れて、出たり入ったりを繰り返すんだ」
「隠遁のマントみたいなもの?」
「そうだな。見えたり隠れたりするから、相手が混乱する。そこを襲うわけだ」
「なるほどねぇ。で? まさか、それを使ったの?」
「使った」
「なんで使えるのさ」
「いや、鑑定さんに解析させたら、闇属性が生えちゃってさ。トリリーにちょっと教えてもらったんだ」
「また、サブのチートかよ」と呆れてる。
「でもさ、これ、視界がポンポン変わるからさ、酔うんだよ。初めて使ったときに吐いたもん。だから、使わずじまいですっかり忘れてたんだ」
「で、それを思い出した、と。それで?」
「息子たちに向かっていって、同時に闇魔法を使った。そうなると目標が定められずに、魔弾に当たらなくなった。次の瞬間、オレは気や魔力を抑えて、木の陰に移動して隠れたんだ。当然、息子たちはオレを見失った」
「ふむふむ。それで?」
「魔導具は魔力を使うからすぐにバレるし、オレの剣技じゃ無理なのもわかってるから、ほかの方法を考えた。それでウーちゃんに念話して来てもらったんだ。ウーちゃんは怒気をはらんで来てくれたから、息子たちは去っていったんだ。ありがとう、ウーちゃん」
「気にするでない。みんなが死んで困るのはワシじゃからな。美味いメシは大事じゃ」
ウーちゃんのそのひと言で、みんな笑顔になった。
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