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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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521/648

521【ピラミッドダンジョンについて・二】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


2話連続投稿します(2話目)

今話は、短めです。

 ラーナを除く全員が固まった。

 立ち直った?のは、ダルトン。

「今、なんつった?」

「コアと話した」

「どゆこと?」

「勇者召喚の魔法陣が何度か発動してな。その都度、オレが吸い取ったんだ。で、ダンジョンのまわりをチェックしててな。そこでも発動して吸い取ったら、出てきた。まぁ、正確に言うと、コアが操る人形だったがな」

「それで?」

「オレに、魔法陣を吸い取る理由を聞いてきて、話してやった。理解してくれたんだが、コアも困っててな」

「困る?」とランドルフ。

「うん。まだ意識がないときに、魔法陣が発動して、勇者が召喚されて、吸収した。知識を得たが、足りないと感じたらしくて、それで次を召喚しようとしたらしい」

「それをサブが邪魔した」

「そっ。で、話をして、魔法陣を使わない約束をしてもらった。交換条件として、ダンジョン攻略に人が集まるから、と教えた」

「えっ、なんでそれが交換条件?」とハルキ。

「知識が足りないから勇者召喚しようとしただろ。それなのに、オレが邪魔をして、知識が得られない。知識を得るには話し合いもできるが、人から吸収する方が早いんだ。人が集まれば、それだけ知識を得られる」

「話をする?」

「吸収するんだ。ダンジョン攻略しに来た冒険者を」

「えっ」と言葉に詰まるハルキ。

「もちろん、ダンジョン内で魔獣に倒された冒険者に限るがな。ダンジョンってそういうものだろ」

「あっ、そうか」

「だいたい、今のあそこは単なる石の山みたいなものだ。中身がない。だから、こっちから基本的なダンジョンの構造を教えてある。そこに魔獣を出したりな」

「そんなに簡単にダンジョンを変えられるんですか?」とエイジ。

「らしい。コアが現れたのも、スフィンクスの前だ。石畳が左右に開いて、そこから飛び出してきた。それから考えれば、ダンジョンを変えるのもそんなに苦労はないだろう」

「まったく、サブは常識破りだよな、いつも」とダルトン。

「オレが悪いのか?」

「悪いとは言ってない」

「言ってるように聞こえるぞ」

「イヤだなぁ、そんなわけないじゃん」

 こういう掛け合いも久しぶりだ。

「サブさん」とマナミ。「コアって人間でした? ファラオとかミイラ男とか、そんな感じでした?」

「あぁ、それね。古代エジプトって神様が身近な動物の頭をしているだろう?」

「はい」

「コアは、その中の猫の姿で現れた。こっちで言えば、猫獣人だな」

「えっ、猫獣人?」とダルトンが反応した。「どゆこと?」

「ほら、召喚された人間がいただろう。そいつがピラミッドとか神々に心酔していたんだ。それでその知識の中から、ひとりの神の姿を選んだんだ。選んだ理由は知らない」

「サブたちの世界に、獣人がいるの?」

「いないよ。想像の産物だよ。あるいは本当にいたのかもな。本当のところはわからない」

「その猫獣人、黒猫でした?」とキヨミ。

「うん。古代エジプトの装飾品を身に着けてた」

「バステトかもしれませんね。バステトは、悪霊や病気から人や家を守る神様です。ネズミを狩ってくれるから、有難がったみたいです」

「あそこじゃ、魔獣を狩ってたけどね」

「見たんですか?」

「うん。素早く動いて、本当に猫のようだった。聞いたら、召喚者が黒猫を飼っていたんだって。狩りが得意だったみたいだね」

「へぇ」

「討伐したあと、魔獣は、石畳に吸収されてた」

「まんまダンジョンだな」とランドルフ。

「でも、いいなぁ。オレ、そっちに行けば良かった」と残念そうにハルキ。

「その分、大変だったよ」

「大変なのは、いりませんけどね」と苦笑い。「あとで、バイク、見せてください。できれば、乗れればいいかな」

「帰り道でな」

 うれしそうに、うなずくハルキ。


 もう少し話して、オレは先に風呂に入って休むことにした。

 風呂に入ると、少しウトウトしてしまい、危ない危ないと風呂を出た。

 意外と疲れが溜まっていたようだ。

 寝床に潜ると、そのまま寝落ちた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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