521【ピラミッドダンジョンについて・二】
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2話連続投稿します(2話目)
今話は、短めです。
ラーナを除く全員が固まった。
立ち直った?のは、ダルトン。
「今、なんつった?」
「コアと話した」
「どゆこと?」
「勇者召喚の魔法陣が何度か発動してな。その都度、オレが吸い取ったんだ。で、ダンジョンのまわりをチェックしててな。そこでも発動して吸い取ったら、出てきた。まぁ、正確に言うと、コアが操る人形だったがな」
「それで?」
「オレに、魔法陣を吸い取る理由を聞いてきて、話してやった。理解してくれたんだが、コアも困っててな」
「困る?」とランドルフ。
「うん。まだ意識がないときに、魔法陣が発動して、勇者が召喚されて、吸収した。知識を得たが、足りないと感じたらしくて、それで次を召喚しようとしたらしい」
「それをサブが邪魔した」
「そっ。で、話をして、魔法陣を使わない約束をしてもらった。交換条件として、ダンジョン攻略に人が集まるから、と教えた」
「えっ、なんでそれが交換条件?」とハルキ。
「知識が足りないから勇者召喚しようとしただろ。それなのに、オレが邪魔をして、知識が得られない。知識を得るには話し合いもできるが、人から吸収する方が早いんだ。人が集まれば、それだけ知識を得られる」
「話をする?」
「吸収するんだ。ダンジョン攻略しに来た冒険者を」
「えっ」と言葉に詰まるハルキ。
「もちろん、ダンジョン内で魔獣に倒された冒険者に限るがな。ダンジョンってそういうものだろ」
「あっ、そうか」
「だいたい、今のあそこは単なる石の山みたいなものだ。中身がない。だから、こっちから基本的なダンジョンの構造を教えてある。そこに魔獣を出したりな」
「そんなに簡単にダンジョンを変えられるんですか?」とエイジ。
「らしい。コアが現れたのも、スフィンクスの前だ。石畳が左右に開いて、そこから飛び出してきた。それから考えれば、ダンジョンを変えるのもそんなに苦労はないだろう」
「まったく、サブは常識破りだよな、いつも」とダルトン。
「オレが悪いのか?」
「悪いとは言ってない」
「言ってるように聞こえるぞ」
「イヤだなぁ、そんなわけないじゃん」
こういう掛け合いも久しぶりだ。
「サブさん」とマナミ。「コアって人間でした? ファラオとかミイラ男とか、そんな感じでした?」
「あぁ、それね。古代エジプトって神様が身近な動物の頭をしているだろう?」
「はい」
「コアは、その中の猫の姿で現れた。こっちで言えば、猫獣人だな」
「えっ、猫獣人?」とダルトンが反応した。「どゆこと?」
「ほら、召喚された人間がいただろう。そいつがピラミッドとか神々に心酔していたんだ。それでその知識の中から、ひとりの神の姿を選んだんだ。選んだ理由は知らない」
「サブたちの世界に、獣人がいるの?」
「いないよ。想像の産物だよ。あるいは本当にいたのかもな。本当のところはわからない」
「その猫獣人、黒猫でした?」とキヨミ。
「うん。古代エジプトの装飾品を身に着けてた」
「バステトかもしれませんね。バステトは、悪霊や病気から人や家を守る神様です。ネズミを狩ってくれるから、有難がったみたいです」
「あそこじゃ、魔獣を狩ってたけどね」
「見たんですか?」
「うん。素早く動いて、本当に猫のようだった。聞いたら、召喚者が黒猫を飼っていたんだって。狩りが得意だったみたいだね」
「へぇ」
「討伐したあと、魔獣は、石畳に吸収されてた」
「まんまダンジョンだな」とランドルフ。
「でも、いいなぁ。オレ、そっちに行けば良かった」と残念そうにハルキ。
「その分、大変だったよ」
「大変なのは、いりませんけどね」と苦笑い。「あとで、バイク、見せてください。できれば、乗れればいいかな」
「帰り道でな」
うれしそうに、うなずくハルキ。
もう少し話して、オレは先に風呂に入って休むことにした。
風呂に入ると、少しウトウトしてしまい、危ない危ないと風呂を出た。
意外と疲れが溜まっていたようだ。
寝床に潜ると、そのまま寝落ちた。
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