518【国境門】
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2話連続投稿します(1話目)
今話は、短めです。
それからも、ダイナーク国までの村々に寄り、隊長さんたちに挨拶する。
そのまま、通り過ぎるのも手ではあったが、ようすは気になる。
とはいえ、別に問題もなく、それぞれの隊の練度も落ちていないようだった。
最後の町、ミッシュ町に到着。しかし、住人はみな騎士たちだ。町の大きさに対して、少ないのは仕方ない。
隊長さんに挨拶に行くと、歓迎された。
「広過ぎるのが、難点だな。隊の人数はほかの村と同じだから、管理をしようとしても、大変だ。だから、一部を閉鎖してある」
「仕方ないでしょう。広場は?」
「閉鎖した。宿屋はあるからな。しかもタダだ。大商隊でもなければ、大丈夫だろう」
「ですね」
もう少し話を聞いて、出立した。
そこから先も村々に寄り、挨拶と会話をしていく。たまに魔導通信機で王都冒険者ギルドへと報告を入れる。ジョージへはそこから配達してくれている。おそらく《竜の逆鱗》にも報告してくれてるだろう。
遠くに国境門が見えてきた。すぐにバイクを降ろして、しまう。代わりに荷物を出して背負う。
しばらく歩くと、国境門に到着した。
少しダレていた門衛たちが、ピシッとする。少なくとも威厳は保たないとね。
門衛に手を振り、ギルドカードを懐から出そうとすると、止められた。
「サブ殿」えっ、知り合い?「元ダイナーク国の騎士です。駐屯地ではお世話になりました」と敬礼してくれる。
あぁ、騎士たちのひとりか。
「たいしたことはしてないよ。会えてうれしいよ」
「サブ殿が、事前に来られることは《竜の逆鱗》のみなさまから伺っておりました」
「そっか。ここをとおったんだね」
「はい。来るかどうかはわからない、とは伺いましたが、無事に来られて良かったです」
「ありがとう。駐屯地からここまで、みんなのようすを見てきたよ。みなさん、お元気だった」
「ありがとうございます。それから身分証のご提示は、いりません。ほかは提示を求めますが、サブ殿はすでに身元を存じておりますので」
「ありがとう。でも、知り合いだからと仕事を緩めてはいけないよ。はい」とギルドカードを出す。
彼は頭を掻いてから、ギルドカードを確認する。
「ありがとうございます」と返却してくれる。「ダイナーク国へようこそ、と言いたいところなのですが、ここはゴウヨーク国に編入されましたので」
「らしいね。聞いたよ。それでもここを守るの?」
「はい。守る、と言うより、ここに村を作ることになりました」
「ほぉ」
「今はその下準備をしているところです」
「そういうことだったか。不便だろう?」
彼らが笑う。いい笑顔だ。
「両方から物資が運ばれてきています。不便は不便ですが、忙しくて毎日が楽しいです」
「それを聞けて、安心したよ」
見れば、丸太で作られた塀があった。あの向こうに新しい村ができるのだろう。
彼らに別れを告げて、そこを去る。
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