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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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511/648

511【事件の原因】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


2話連続投稿します(2話目)

 頭を悩ませながらも、冒険者ギルドに到着した。

 とりあえず、領主様の使いだと言って、ギルマスとの面会を求めた。

 すぐにとおされた。

 ギルマスとは、面識がある。とはいえ、面会したのは一度だけ。厳つい男性だ。

 ともにいるのは、小人族の女性。副ギルマスだ。ダルトンの出身地のとなり村の住民らしい。彼女とは二度の面識。

「ギルマスのロイドだ。領主様の使いと聞いたが」

「お久しぶりです」

「ん?」

 あっ、わかってないな。

 オレは、スタンガンを取り出して、一度起動した。バチバチバチッと激しい音がする。すぐに止めた。

「おまえ!」

 やっと気付いてくれたな。

「どうも」

「お、おう」

 スタンガンはしまう。代わりに、領主様からの依頼書を出して、渡す。

 それを読むふたり。

「それで?」

 依頼書を返してくれる。

「領主様に報告したいんだが、その前に領軍の情報が欲しい。わかっている範囲で構わない」

「領軍か。広場に下っ端がいる」

 うなずく。

「四日前に、町を出てから、帰ってこない。盗賊団の討伐で来ていたはずだ」

「盗賊団の方は?」

「六日前から報告が上がってきていない。パタリとやんだ。しかし、ひとりが町で捕まって、自白させた。そいつは盗賊団と内通していて、めぼしい商隊がいたら、盗賊団へと知らせていた。そいつによれば、六日前から連絡が取れていないそうだ」

「アジトの場所は?」

「知らないそうだ。連絡方法は門を出て、キャンプを張り、そこでひと晩過ごす。そこに連絡役が来る」

「前日には、獲物のことを知るわけか」

「そうだ」

「魔獣の方はどうだ? 何か強い魔獣が現れたとか」

「この辺にいるのは、ツノウサギやゴブリンやオーク、ウルフがいるくらいだ。そんなの、領軍ならば敵じゃない。よっぽどの大群ならば別だが、そんな報告もない」

「いいですか?」と副ギルマス。

 うなずいて、促す。

「関係あるかはわかりませんけれど、魔獣の出現が、ここのところ、少なくなっています。依頼も討伐も買い取りも減っています」

「減ってる? そんなに目に見えて?」

「いえ。減ったなぁ、くらいの程度です。冬になれば減るのは当然なのですが、この時期に減ることはありませんので」

「なるほど。わかりました。領主様への報告を書きます」

 用紙をもらい、わかったことを書き出す。

「至急、届けるようにお願いします」

 副ギルマスが受け取り、用紙の一部にその旨が書き足された。それから魔導通信機で送られた。

「それで、おまえとしてはどうするつもりだ?」

「とりあえず、あたりの探索をするつもりです。塀の周辺には目を通したので、森の中を」

「ひとりでか?」と怪訝になる。

「ええ。軽く見てまわる程度です。危険には近寄らないようにします。危険と判断したら退き、お知らせします」

「……わかった。誰か付けろ、と言いたいところだが、いらねえだろ?」

「ええ。同行者がいては、集中できませんからね」

「なんかあったら、どうする? おまえさんが囚われたとか」

「ありえますが、そのときは二日待ってください。戻らなければ、領主様に連絡を。そのころには死んでいるでしょうから」

「縁起でもねぇ! そういうのはやめろ!」

「とにかく、今日中には戻ってきます」

「おう、そうしてくれ」


 レイバク町の門を出て、しばらく歩くと、森の端に到着する。

 しかし、大勢の人間の反応がない、ということは、すでに死んでいると思っていいだろう。それは仕方ない。

 問題は、その原因だ。強力な魔獣や群れを作る魔獣ではない。すでに探知済だ。ダンジョンでもない。

 どうやって探せばいい?

 オレは、歩みを進めながら、考える。探知は常時発動しているから、危険が迫ったら、反応できる。


 しばらく考えて、思い付いた。もっと早くに思い付くべきだった。まぁ、それはいい。

 探知の条件を剣に切り替える。そう、剣だ。盗賊団も領軍も剣を携えていたはずだ。その剣が少なくとも二箇所に固まっているはず。盗賊団と領軍のものが。

 念のために、武器防具も含める。

 探知開始。

 当たった!

 周辺に危険な魔獣は? いない。

 とりあえず、それなりに距離もあるし、飛んでいくことにした。透明化も忘れずに。


 現場に到着した。

 上空からは、木の枝が邪魔で確認が取れない。それでも陽が当たって、金属の煌めきが見えた。

 降りていくと、枝が間近になり……突然、探知が危険を知らせてきた。

 反射的に、上昇に切り替えた。

 次の瞬間、何かが枝の中から飛び出して向かってきた。

 だが、オレに届く手前で、重力に逆らえずに落ちていく。

 なんだ?

 鑑定すると、出た。

「スライム!?」

 スライムが飛ぶのはあるが、それほどのジャンプ力はない。

 鑑定内容をよく見てみる。

 うわっ、肉食スライムだって。しかも獰猛とある。それで飛び掛かってきたわけか。

「どうしよ」

 肉食スライムがあの一個体だけとは思えない。アレを条件にして索敵。

「うわぁ~、あかんわ」

 なんと、そこら中にいる。

 これは想定外だわ。

 最弱だと考えていたスライムが、獰猛な肉食。それが、これだけの数、襲い掛かってきたら、混乱すること請け合いだ。

 盗賊団も領軍もこれにやられたのだろうな。魔獣が減ったのも、このスライム群が原因だろう。

 あー、まいった。

 こんなもん、どうしろと?

 いや、とにかく、これは危険だ。どのくらいの増殖スピードがあるかはわからないが、この場だけに留まっているとは思えない。

 少なくとも、このエリアを封鎖しなければ。

 証拠として、領軍の兵士のものと思われる剣をひとつ、バキュームする。

 それから、肉食スライムの存在を探知して、存在している範囲を確認する。

 地図にバッテンを付けて、おおよその範囲を示す。ギルマスに見せるために。

 上空から地面の見える場所に、ゴブリン一匹を落としてみた。

 どのくらいの消化速度なのか調べるために。

 地上に届く前に、スライムが飛び付いた。次から次へと。

 地面に落ちたときに一瞬離れたが、すぐに飛び付く。ほかのスライムたちも飛び掛かってくる。これが人間なら混乱して暴れまわり、鼻や口を塞がれて窒息死するな。

 消化は思ったほどのスピードはない。死骸ならば、急ぐ必要はないからな。しかし、死体は残ることはない。骨まで溶かすだろう。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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