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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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510/648

510【行方不明事件の聞き取り調査】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


2話連続投稿します(1話目)

今話は、少し短めです。

 レイバク町までは、上空から見た感じ、これといった異変はなかった。

 途中の人通りのないあたりで、移動機(仮)を降り、収納すると、透明化して浮遊する。

 まずは、町のまわりを飛ぶ。三周したが塀にも異常はないし、まわりのようすにおかしなところはない。

 原因は、町の中か?

 そこで、街道からふつうに町に入った。

 衛兵のひとりに尋ねる。

「なぁ、領軍が来たって聞いて、商売に来たんだけど。どこにいるかな?」

「領軍? いなくなったよ。広場に下っ端、置いてさ」

「なんで?」

「知らんよ。下っ端たちも困ってたよ」

「その下っ端は?」

「広場にいるよ。金は持ってるから、多少は商売になるんじゃねぇか」

「わかった。行ってみるよ」

 お礼を言って、広場に向かう。


 広場の入り口には、衛兵が待機していた。大きい広場では、冒険者同士の諍いが多い。それをたしなめるためにいるのだ。

「こんにちは」

「なんだ?」

「オレは商人なんだが、こちらに領軍の残りがいると聞いてきたんだ。商売になるかと思ってね。いるかい?」

「ああ。奥の」と指差す衛兵。そちらに目をやるオレ。「テントだ。領軍の兵士たちがいなくなったままでな。その帰りを待ってるよ。旅人が多くなって、テントが張れないと文句を言われたので、使わないテントを畳ませたんだ」

「そうか。ありがとう」

 オレは、その示されたテントへと向かう。


 テントのまわりには、馬が数頭、草を食んでいる。馬車があり、荷が積まれ、シートで覆われていて、ロープで固定されていた。

 近付くと、剣戟が聞こえてきた。音からすると、木剣だ。それが三つほど。

 そちらに行くと、やはり木剣での訓練をしていた。ふたり一組となり、六人でやっている。そこから外れて、四人が休んでいた。みな、若い。

「おーい」と声を掛ける。

 全員が振り向いた。訓練を中止して。

 剣戟を交えていた中から、ひとりが声を返した。

「何かご用でしょうか」

「B級冒険者のサブと言います。領主様より調査を(めい)じられ、こちらにまいりました」

「領主様から!」

 彼だけでなく、全員が驚きとともによろこんでいる。それだけ困っていたのだろう。


 オレたちは、地面に車座になって座った。

 まずは、オレの身元を明かす。それから領主様からの依頼書を見せた。

 納得してもらえたので、話をすることに。

「まず、君たちは?」

「領軍の兵士見習いです。主に下働きをしています」と最初に声を返してきた男性。

「人数はここにいる全員?」

 うなずく。

「君たち自身に困ったことは?」

「ありません。食料も持ってきていますし、活動資金の金銭もあります。大金なので、それを守る必要があり、それが負担に」と苦笑い。

「わかった。ケガや病気はしていないんだね」

 うなずく。

「では、状況を整理して教えて欲しい。領主様のお話では、軍団長が率いてこちらに来たんだったよな」

「はい」

 彼は出立から話してくれる。

 盗賊団の被害が多くなり、軍団長はじめとした領軍50人(彼らも含む)で出立。

 到着したはいいが、被害の報がなくなっていて、幹部が相談して、まずは様子見として領軍を休ませた。そのあいだに情報を両ギルドから仕入れた。

 情報を精査し、盗賊団がいると思われる場所を特定して、そこを虱潰しに探索することに決まった。

 領軍がここを発ったのは、四日前のこと。彼らはそれ以来、領軍の帰還を待っていると言う。

「探索して盗賊団を討伐するには、長過ぎる時間が経ちました。しかし、誰も戻ってきません。途方に暮れていたところでした」

「なるほど。彼らの持っていった食料は、どの程度の量?」

「一日半。長くなれば、誰かを寄こして、食料を我々で運ぶことになります」

「わかった。何かがあって連絡できない状況と考えられるな。二日ならば食べずとも生きられる。水があれば一週間はイケる。そのあいだに彼らを見つける必要があるな」

 全員がうなずく。

「探索範囲はわかるか? 地図があれば、示して欲しいが」

 ひとりが立ち上がり、テントに入る。

 オレは考えるフリをして、探知してみる。まずはレイバク町の周辺にいる人間。バラバラで、まとまって行動している者はいない。範囲を広げても反応なし。

 さっきの彼が戻ってきて、地図を広げた。

「ここからここまでの範囲です」

「わかった。君たちはここで待機。オレは冒険者ギルドから、領主様に一報を入れてくる。それから、戻ってくる。いいね?」

 はい、全員が答えた。


 オレは冒険者ギルドに向かいながら、探索の条件を変更していた。人間ではなく、魔獣に。小型は排除。スライムが大量にいたからな。盗賊団も領軍も魔獣にやられたとすれば、力量不足で討伐できず、逆に倒された。そう考えれば、急に姿を消したことに納得がいく。

 ゴブリン、ウルフ、オークはいるが、それほどの群れでもない。オーガにいたっては存在すらない。

 どういうことだろうか?

 ダンジョンがあるのか、と探索してみたがそれもなかった。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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