506【シファーさんとの食事・その二】
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2話連続投稿します(1話目)
今話は、少し短めです。
朝。
シファーさん宅の台所を借りる。シファーさんはそばで見ているつもりのようだ。
道具類を用意。念のためにクリアしておく。
「その大きい板はなんだい?」
彼女が指差したのは、一メートルほどの板。
「まな板です。魚が大きいので、このくらいの大きさが必要なんですよ」
そこに食材である魚をドンッと出す。
「大きいねぇ。しかも頭も皮も内臓もなくなってる」
「湖ですべて取り除きました。皮付きもありますよ。そっちの食感や旨味も好きなので。でも今日はこちら」
ほかの食材も出して、シファーさんに説明していく。彼女の見たことのないものもあるから。
ふたり分を切って、バターを入れたフライパンに、切り身を入れてソテーする。味付けは、バターの塩分で大丈夫。
焼いているあいだに、細かいことをしていく。あんまりイジると、身崩れして美味い見た目にならないからね。
ちゃんと焼けた魚を、葉物を敷いたお皿に載せる。
ごはんと味噌汁を用意してから、道具類をきれいにして、しまう。
シファーさんと一緒に、料理をテーブルに運ぶ。そのまま席につく。
「「いただきます」」
食べはじめる。
シファーさんは、ふつうに食べだした。味噌汁、ごはんと。それから魚の下の葉物。それからフォークとナイフで、魚を切り分ける。切断面を覗きみる。
魚はサーモンピンクの身をしている。バターソテーしてあるので、表面は固くなりピンクに染まっている。しかし、内側はサーモンピンクのまま。それでも火はとおっている。
シファーさんが口に入れた。
「ほぉ、これは美味いな。塩気はバターだけで大丈夫かとも思ったが、脂が乗っていて、その旨味がよいな」
彼女には、合ったようで、食が進む。
食後のお茶。
「ふつうの川魚には、望めぬかのぉ」とため息。
「清流の魚ならば、塩を振って焼けば、美味いと思いますけど」
「清流か。残念ながら、近くにはないな」
まぁ、川魚はそのままでは泥臭いし、絶食させて、腹の中を体外に出させる必要がある。ナマズタイプだと泥の中にいるから特に処理が大変だろう。
お茶休憩を終えたら、野営をたたみ、旅立つ。
シファーさんとは、また寄ることを約束して、別れた。
門を出て、街道に出ると、まわりのようすを伺う。ひと気はない。
まずは浮遊して、移動する。
ある程度、進んだところで、地上に降りる。
「さてと」
オレは、作っていたものを出した。それに推進器を組み込んで、操作系をうまく配置する。
「よし」
外見は、キャノピー付きの三輪スクーターのエンジンやタイヤや荷物入れがなく、推進器が左右に出ている。ハンドルはなく、そのままでは方向転換できない。
だが、方向転換は左右の推進器の出力を調整することで、良しとした。
それに空中を旅をするのに、曲がる必要もない。
オレはひととおりチェックしてから、乗り込んだ。コックピット内には、パイロット用のチェアがある。そこに腰を下ろす。シートベルトをする。キャノピーは固定だ。操作盤に触れて、まずは浮遊。ある程度の高さになったところで、推進器を起動。
推進器はこれまでの改良で、信頼できる出来になっている。速度を固定すれば、オレの操作は必要なくなる。
さぁ、旅の再開だ。
ちなみに、コックピットを作ったのは、休憩時間でタイムロスするのを避けるためだ。
食事なんかは、しないわけにはいかない。それがコックピット内で摂れる。
さすがにトイレは……と思いもしたが、それはオムツをすることで、飛行時間を確保することにした。
問題は、チェアに座りっぱなしなので、エコノミークラス症候群が心配だということだろう。
エコノミークラス症候群は、長時間にわたり狭い場所で座り続けることで、脚の血流が悪くなり、深部静脈に血栓ができることによって起こる病気。飛行機や乗用車などで起こる。解決法は脚や身体を動かすこと。
これに対しては、チェアに座ったままで、できる運動をすることにした。
この乗り物のおかげで、空の旅は順調に進んだ。
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