505【シファーさんとの食事・その一】
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2話連続投稿します(2話目)
今話は、少し短めです。
メカタ村の門を入る。
シファーさんのいる村だ。
その足で、シファーさんの自宅に。
彼女は畑にいた。子どもたちと一緒に。
薬草採取か。
「シファーさん」と声を掛ける。
こちらを見て、立ち上がり、笑顔を見せてくれる。
「サブ、ようこそ」
「お久しぶりです。採取ですか?」
「ああ。中に入って座ってておくれ。すぐ行くから」
「はい」
お茶をいただいて、ひと息つく。
「ひとりかい?」
「ええ。仲間たちは、ダイナーク国の国境まで先に行ってます」
「ダイナーク? あぁ、元エルゲン国か。そんなところに、何をしに?」
「食料の買い付けですよ。美味しいものがありましてね」
「ほぉ。なんだね?」と身を乗り出すシファーさん。この人も食事には興味津々だったね。
ようやく落ち着いたところで、本題を切り出す。
「シファーさん、今夜、泊まっても大丈夫ですか?」
「構わんよ。そこを使うんだろう?」と外を指差す。いつもの場所だ。
「ええ。別に宿を取ってもいいんですけど、ちょっとした作業もあるものでして」
「何かを作るのかい?」
「ええ」
少し話してから、いつもの場所に野営を張る。とはいえ、森での野営と違い、きちんとしたテントがある。シャワーくらいは浴びれる設備も出す。これならば、壁の薄い宿屋よりも熟睡できる。作業も気兼ねせずにできる。
その夕方。シファーさんと食卓を囲む。
「いいニオイだね」
テーブルに載せたのは、オレが作った料理。
シファーさんに調味料を味見してもらって、アレルギーも確認してある。
なんちゃって日本料理だ。というよりも洋食か。マナミのように美味くはないが、気分は味わえる。
さっそくいただく。
シファーさんもお箸は使えるが、それほど慣れていないので、ふつうのカトラリーで食べる。
ごはん、味噌汁、ハンバーグ、それにサラダ。
ハンバーグは、フードプロセッサーでミンチ肉にしましたよ。フードプロセッサー? ありますが何か? まぁ、オレのは試作品だけどね。マナミに依頼されては作らないわけにはいかないでしょ。
ちなみに、ハンバーグにチーズインはしてません。いや、あれば入れていましたよ。はい、切らしていまして。どこかの街で仕入れませんとね。
シファーさんの反応は、上々。ときどき顔をしかめて、食べているものを見ている。なんのことはない。食材がわからないとか、味が想像とは違うとか。そういうことで顔をしかめていたのだ。
食後のお茶。
「肉もそうだが、葉物は知っているものが多かったが、さすがに味見していなかった。これだけの味になるのだな」と関心しきり。
「明日の朝は、魚料理を出しますね」
「川魚か?」とイヤそうな顔をする。
「その顔は、不味いのにあたりましたね?」
「うむ。旅で、捕れた魚を焼いて食べたら、泥臭くてな。その場で放り出してしまったくらいだ」
「なるほど。さすがのシファーさんもダメでしたか」
「うむ」
「じゃぁ、明日は試してみてください。残しても文句言いませんから」
「そうか?」
「ただ、魚は湖の魚ですから、川魚とは違うかもしれません」
「湖? どこだ?」
「グレイハート湖です」シファーさんが驚く。「以前、そこで訓練をしていましてね」
「本当にあったのか。よくぞ、たどり着いたな」
「ええ。その湖の魚です。下処理もしてありますから、美味いですよ」
「わかった。明日を楽しみにしよう」
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