504【新たな魔導具の調整】
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2話連続投稿します(1話目)
今話は、少し短めです。
ここから、『魔法剣士』編になります。
翌日。
オレは、王都を出発した。
商隊の馬車に同乗させてもらって、最初の村の街道入り口で降ろしてもらった。
商隊を見送り、商隊の姿が見えなくなると、オレは浮遊の魔導具を装備して、浮遊をはじめる。
「さて、まずはテスト起動しますか」
新しい魔導具を起動して若干の操作をする。
さすがに動作試験もしていない魔導具を全開で使うわけにはいかないからね。
小型の魔導具は実験したから、効果があるのはわかっている。しかし、本来のサイズはジョージ邸では試せなかったのだ。
ほんの少しの操作で、オレの身体はその場から弾かれた。
すぐに切る。
惰性で移動しているが、それでも……。
「ありゃ、想定以上の出力だな。少し考えて、操作しないとな」
連続稼働で加速していく。少ししたら切って、惰性で飛ぶ。それを繰り返す。
仕組みは、簡単だ。
以前、ハルキのマグマバレットでオーガの顔を吹き飛ばしたことがあった。そのときは、キヨミのウォーターボールでオーガの顔を包んで窒息させようとしたが、オーガは少し驚いただけで、オレたちに対処してきた。そこでハルキに指示してマグマバレットを顔に当ててもらった。そうしたら、水蒸気爆発を起こして、オーガは倒れた。
その水蒸気爆発を原理にして、その爆発力を加速に使っているのだ。ロケットと同じ原理だね。
酸素と水素ではなく、水と熱した石ってことになるけど。
操作に慣れたころ、地上に降りて休憩、ではなく推進器の改良を行なうことにした。ずっと操作ばかりしていては、長距離移動で神経を擦り減らすことになる。飛んでいられない。
そこで、操作手順を魔導具に組み込む。あとは、出力調整するだけだ。
そんなことを試し試ししながら、旅を進める。
安全対策も施している。途中で、この推進器が燃え溶ける可能性もあるからだ。その場合は、オレと推進器の連結を切り、分離する。同時に、分離された推進器を結界が包み込み、空気を遮断する。結界の魔導具は浮遊の魔導具に組み込まれ、推進器とは金属ワイヤーでつながっていて、鎮火を待つことになる。
分離したオレは、浮遊の魔導具を付けているままなので、落ちることもなく、推進器の鎮火を見守れる。
なぜ推進器を浮遊させるのかだが、燃えているものを森に落とすわけにはいかないだろ? 森林火災になっちまう。
二日ほどで、微調整を終え、快適に進む。
ここでの大敵はふたつ。こんなスピードだ。当然、風が当たる、顔に。結構つらい。まぁ、想定していたので、作っておいたヘルメットをすぐにかぶる。
もうひとつが想定外だった。眠気だ。特別な操作もしなくなり、話し相手もいない。直進するだけだから、方向転換することもない。空中だから魔獣や盗賊に襲われることもない。つまり、退屈で居眠りしてしまうわけだ。
ウーちゃんの背中でも居眠りしてたんだから、当然の結果だった。
夕方前に、町に入り、宿屋へ直行。
「さて、どうしたものか」と考える。
こうして、宿を取るのは、熟睡するためだ。それと魔導具の手入れもある。
野営がダメ、というわけではないが、それは減らした方がいいと判断した。なぜなら、結界を張っても魔獣はやってくるし、うるさい。眠らせてくれ、って話。
もちろん、野営の必要も場合によっては出てくる。ラキエルのエサを得るためとか、食料確保とか。それから魔導具の実験とか。これがデカいか。
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