503【貴族方への報告】
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2話連続投稿します(2話目)
今話は、少し短めです。
翌日。ジョージの言葉どおりに、謁見。
まわりは貴族たち。
宰相殿から質問があり、それぞれが答える質疑応答の形式で、表面的な情報を共有する。
謁見を終え、オレたちは応接室へと移動した。そこで代表的な臣下とのやり取りをする。彼らからの質疑応答により、疑問点を解消させるためだ。
かなりの時間を費やしたが、それも終わり、ジョージ邸へと戻った。
戻ると同時に、オレは出掛けた。
商業ギルドで、魔導具販売のようすを尋ね、多少の金額を引き出す。少しくらいは使わないとな。経済はまわしてなんぼ、だ。
冒険者ギルドでは、ランドルフの兄貴であるギルマスを訪ねた。
「おぅ、サブ、早かったな」
「ワイバーンだからな。それで《竜の逆鱗》は?」
もちろん、オレの探知で調べればわかることだが、ここは話のネタとして尋ねた。
「もうじき国境というところだな」
「そうか。サナル村は?」
「スタッフによると、森神様のおかげで、周辺調査も順調で、薬草なんかも豊富だそうだ」
「順調なんだな」
「ああ」
ギルマスに、みんなへの伝言を頼んで、冒険者ギルドをあとにした。
街で買い物をしてから、ジョージ邸に戻った。
翌日から、オレは作業小屋にこもって、魔導具開発に取り組んだ。ただし、実験は小規模にしかできないが。それでも基礎が確立されれば。
「何をしている?」とロング。
昼食に集まった食堂で、そう問われた。
「旅に必要なものを作ってる」
「旅に? あぁ、仲間と合流するのだったな」
「ああ。ふつうに馬車で移動したら、追いつく前に、冬になっちまうからな。従魔のケルピーもいないし。移動手段が必要なんだ」
「なるほど」
「それで」とフレックス。「どんな?」
「君らと同じだよ。空を飛ぶ」
「浮遊の魔導具があるよな」
オレは笑った。
「あれで旅するつもりはないよ。まぁ、似たりよったりだが」
「この国にワイバーン隊がいれば、いいのにな」
「隊を確立するのに、何年掛かるんだよ。それに国で管理するだろうから、個人的な用途には向かない。違うか?」
「それもそうだな」とフレックスは肩をすくめた。
シャーラ嬢、アイーシャ嬢、それにリリアス嬢の三人組は、毎日お茶会を開き、お互いの至らない点を修正している。主にシャーラちゃんが教育されているのは、当然として。
アイーシャ嬢とリリアス嬢の近衛兵の送迎は、一緒にされている。これは近衛兵や馬車の数の少なさも関係しているが、リリアス嬢とアイーシャ嬢の申し出により、決定したそうだ。なんでもふたりともに恐縮するから、だとか。
アイーシャ嬢は慣れたとはいえ、それでも王宮の馬車だ。警護も近衛兵となれば、いたたまれまい。
一緒になったとはいえ、近衛兵の数は増やされていた。さすがにそこはケチれないのだろう。毎日とはいえ、要人警護なのだ。近衛兵にも誇りはある。
数日後、オレは王城の執務室にいた。
「そうか。旅立つか」とジョージ。
そう、そろそろ旅立たねばならないのだ。その話ともうひとつ。
「うん。その話もあるんだが、ダイナーク国のことや越境してきた騎士たちのことを聞こうと思ってな」
宰相殿とともにうなずくジョージ。
「補償の一部として、チタラ城と周辺地域をゴウヨーク国とすることになった。しばらくは両国の交流の場としての位置付けになる」
「やはり、そうなったか。それで騎士団は?」
「我が国への編入とした。その上で、チタラ城周辺に配置する。すでに部隊の一部が移動している。家族とも会える手筈も整えているところだ」
「良かった。少し気になっていたんだ。そうなると、辺境伯は?」
「すでに駐屯地をあとにしている」
「途中の町や村は?」
「残った騎士団に管理を任せた。とはいえ、冒険者ギルドもない村々は閉鎖。しかし、旅人の宿泊のために、開けられるようにしてある」
「そうか」
「盗賊の根城にならないかの心配はあるがな」
「あのあたりに出てたのか?」
「大きな被害があったわけでもないがな」
「ですが」と宰相殿。「徒党を組めば、街道沿いでの被害も出てきます」
「確かに」
「それでもほかに手がありませんので」と苦笑い。
「まぁ、仕方ないでしょう。そのうちに人をやるのでしょう?」
「はい」
「まぁ、道中、ようすを見てみます」
「頼みます」と一礼された。
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