050【ふたたびバキュームとスクロール】
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全員の目がこちらに向く。
「できるのか?」と懐疑的なランドルフ。
「わからん。指定はできる。でもここからはどうだか」
「やってみろ。神様からもらったスキルだ。ダメでもともとだ。結果はわかるんだろう?」
「ああ。リストアップされるからな」
「よし。まずは確認しよう。バグラール国の王城から、何かを奪ってみてくれ。そうだな」少し考えて、ニヤリと笑むランドルフ。こわっ。「王様の王冠なんてどうだ?」
バキュームの条件を指定する。
「指定できた。いいか?」
うなずくランドルフ。
「バキューム」と唱える。
パッとリストに追加された。それを出す。
「こんなん出ましたけどぉ」と戯けてみせる。
キンキラキンの王冠だ。
「やったな。よし、この国と同じことをしてやれ」
指定。
「バキューム」
アイテムボックスにどんどんと追加されていく物品たち。
「おお、すごい武器の量だな。さすがに召喚の魔法陣はないか。金銀財宝もまぁまぁ。魔導具も武器の部類が多い。しかし、またアイテムボックスの肥やしが増えたな。あぁ、それで思い出した」
オレはスクロールを取り出す。
「なんだ?」
「スキル取得のスクロール。“隠蔽”スキルだ」
「“隠蔽”って、ステータスを偽装できるスキルか」
「そう。オレはすでに持っている。でも君たちには必要だ、勇者一行の諸君」とエイジに差し出す。
受け取るエイジ。
「どうすれば?」
上下に引き伸ばす動作をしてみせる。
エイジが実行。
数秒そのまま。
スクロールを閉じると、まぶたを閉じた。それから開く。
「ステータス・オープン」とステータスを表示。
それを指先で、なぞる。称号が消えた。
おお、と一同。
そうして、ハルキ、キヨミ、マナミと実行する。
「オレも」とランドルフ。
「必要ないだろう?」
「やっぱり奴隷というのは、なぁ」と頬をポリポリ。
「はいはい」
彼もステータスを偽装できた。
「さて、もうひとつ」新たなスクロールを出す。「“気配察知”のスクロールだ。まぁ、初級レベルだが、使っていけば、レベルアップするから」
これも取得させた。
※巻き物
マジックスクロールや単にスクロールとも呼ばれる。
旧版ダンジョンズアンドドラゴンズ用語辞典 Wikiでは、スクロールと表現。
魔法発動を行なうためのもの。
使い捨てが多いらしい。
本作では、基本的に脳内へとスキルを付与する場合が多い。使い捨てだとスクロールを大量に生産して、流通させる必要があるため不経済である、と考えた。
これが護符のようなものであれば良さげ。
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