045【ウルフと追加情報】
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少し短いため、2話連続投稿します(1話目)
「これからウルフを出す。口外禁止でお願いしたい」
「わかりました。それで何匹ですか?」
「二十匹。頑張ってね」
五人が固まる。
彼らを無視して、ウルフを出していく。
「マジックバッグ?」「デカい」「えぇぇ!?」
「はい、よろしく。毛皮は君たちへの報酬のプラス分ね。内臓もいるならいいよ。肉と魔石は欲しいからよろしく。どのくらいでできるかな? 急ぐ必要はないけど」
「えっ? えっと……そうですね、一時間ください。いや、食べるんですよね。となると血抜きも必要か。なんか、狩ってきたばかりのようですけど……二時間ください」
「わかった。よろしく」
オレは彼らに任せ、食事処へ。
五人が待っていて、気にしている。
ランドルフが受付嬢に会議室を借りに行った。兄貴さんからの追加情報の話だろう。
ランドルフの手振りで会議室に移動。
ドアを閉じる。
「どのくらいでできるって」
「血抜きもあって、二時間ほど」
「そうだな」とうなずくランドルフ。
みんなを座らせる。ランドルフは立ったまま。
「兄貴から、追加情報が来た。これは暗号ではなく、通常のやり取りで送られてきたものだ。暗号にする必要がないからだな。内容は、いくつかある。王都は大規模商会が王族からの金の回収ができず、混乱中。貴族も対応が取れない状態。王城から早馬を出そうにも王城の馬の馬具がなくなっていて、街なかの馬関係に当たるも無一文では誰も相手にしない。すでに商業ギルド経由で王城は無一文だと知らせがまわっていたんだ。冒険者ギルドも同様だ。これは国内だけでなく、国外にも伝わった」
「えっ、大丈夫なのか? ふつう、そんなことになれば、隣国が攻め込んでくるだろう?」
「ふつうならな。だが、今でなくともいずれはそうなる国だったんだ、この国は」
「どうして?」
「理由は簡単。防衛力に金を割いていなかったんだよ、あの王様は」
「あぁ、そういうことですか」とエイジ。「それなのに、国境沿いは侵略を受けていなかったんですか?」
「今は小競り合い程度だ。劣勢になって、勇者召喚して、対抗する、って感じだな」
「そういえば、敵国が侵略に来ている、助けてくれ、って王様が言ってた気がするな。もう逃げる算段の最中だったけど」
「ということはだ、侵略されはじめている、ということだな」
「いいこと、じゃないよね」とマナミ。
「そうね」とキヨミ。
「そういえば」とハルキ。「前の勇者たちはどうしたんだろうな」
「おまえたちを呼んだんだ、すでに死んでいるだろうな」
「ひでぇ、使い捨てかよ」
「そういうことだな。まぁ、あの王様のすることだ。たいして考えていなかったんだろう」
呆れるほかにない。
「でもそうなると」とエイジ。「国境付近は危険地帯ですよね」。
「侵略してくるのは、一国だけだ。オレたちが越境しようと考えているのは、別の国だから安心していい」
ホッとするオレたち。
「越境までは大丈夫かな?」とオレ。
「国内か? 大丈夫とは思いたいな」
「ということか」とため息。
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