044【エールと違約金】
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少し短いため、2話連続投稿します(2話目)
今度は、冒険者ギルドに。
四人には、今まで集めた薬草のいくつかを渡して、換金することを指示。
お金に困ってはいないが、正当な収入は欲しい。まぁ、四人の正当な、とは言えないけれど。
オレは食事処で待機する。
エールを頼むと、すぐに出てくる木製ジョッキ。
このエール、ランドルフによると水代わりで、生水を飲むならエールを飲む、というのがふつうらしい。まぁ、生水はオレも遠慮する。何が入っているかわからないからな。雑菌もあるだろうし、屎尿が混ざっていないとも限らない。
ちなみに、オレが旅路のあいだに収納しているのは、飲める水に限っている。もちろん、ゴミや生物などは入りませんよ。我がアイテムボックスの能力、素晴らしい。
四人のは、そこまでの能力はありません。出し入れするだけだよ。
ランドルフは、受付嬢に何かを尋ねている。たぶん、兄貴さんからの追加の情報だろう。
四人は、買い取りカウンターへ行き、薬草を買い取ってもらっている。
「兄さん」と声をかけられた。
そちらに顔を向けると、まだ若い男性。装備から冒険者とわかる。
まさか、追手か?
「何か?」
「冒険者には見えないんだが」
「はい。商人です」
「商人さんだったか」ホッとしている。「護衛でも探して?」
「いえ、すでに護衛は雇ってまして。途中で彼らが薬草を手に入れたので、換金に」
「そうだったか。もしかして、あの四人?」と買い取りカウンターの四人を指す。
「ええ」
「大丈夫かい? 新人にしか見えないが」
「そのとおりです。でも経験豊富な教育係も一緒ですから大丈夫ですよ」
「そうか。話は変わるが、何か仕事はないかな?」と申し訳なさそうに尋ねてくる。
見ると、彼の後ろに男女四人がテーブル席からこちらを伺っている。パーティーだろう。装備はきちんとしているが、あまり金回りはよくなさそうだ。頬がコケている。
「ちょっと情けないことに依頼に失敗しちまって、違約金を払わなきゃならなくて。でも金をかき集めても足らなくて。討伐依頼でもあればとは思っても、ここではなかなかなくてな。薬草採取なんかじゃ焼け石に水だし」
「なるほど。それで私に仕事を」
「そうなんだ。なんでもいい。あと金貨一枚なんだ」
ポイッと渡すことはできる。だが、それは彼らをバカにすることになる。ううむ。
オレが悩んでいると、四人がやってきた。
「サブさん、もしかして絡まれてますか?」とハルキ。
「お帰り。大丈夫。絡まれてたら面白いんだけどね」
ランドルフもやってきた。
「どうした?」
「仕事はないか、と相談を受けていたんだよ」
「仕事? ふつうに依頼をこなせばいい」
みんなに説明する。
「なるほどな。あと金貨一枚か。何かあるのか?」とオレに聞くランドルフ。
「ほら、ゆうべのアレ、解体してもらおうかなと。それとは別にもうひとつあるんだが」
「なんだ?」
「さっきの商品をちょっとね」
「ふむ。まぁ、反対する理由はなさそうだが」
「解体だけだと、いくらくらいかな?」
「そうだな……金貨一枚には届かないな。あの商品をなんとかする内容次第で、届くだろう」
「わかった」若者に向く。「ふたつの依頼を出そう。それで金貨一枚プラスいくらかかな」
「わかりました。やらせてください」
ということで、カウンターに行き、指名依頼をする。それから解体場を借りる承諾をもらう。そのあいだ、解体スタッフには外れてもらう。
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