041【ボンバルディア・ビートル】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、2話連続投稿します(1話目)
「マナミ、コンロの使い勝手はどう?」
「火の調整がちょっと」
今は、火を調整できず、一箇所の火をつけたり消したりして調整している。
「だよな。本当ならば、魔石からの供給を調整すればいいんだが、ちょっと難しい。悪いけど、しばらくはこれで頼むよ」
「はい」
「部屋でこんなことをしていると知られたら怒られるからな、本来は」とランドルフ。「火気厳禁だから」
「安全第一か。でもランタンは?」
「唯一許される火気だな」
そう、ランタンは魔導ランタンではなかった。ランドルフいわく、魔導ランタンは裕福な者でないと持っていても維持できないそうだ。それは魔石が必要だから。もちろん、魔導ランタン自体も高価らしい。
コンロに使おうとも考えないのがふつうだとか。
だが、上位冒険者のパーティーならば、購入し維持もできるそうで、使用しているパーティーも多いそうだ。
「そんな彼らなら需要はありそうだな」
「まぁな。旅のあいだに温かい飯はありがたいものだし。ふつうは、ときおり魔獣が狩れたときに焚き火で肉を焼くくらいだし。調味料も塩だけだ。でもまぁ、これは」とコンロを指す。「荷物になる」
「だから改良するって。魔石もひとつの火にひとつなんて、使い方間違っているからな。ひとつですませるようにするよ」
「そうか」
食事を終え、明日の目的地の確認。
「それから明日は」とランドルフ。「冒険者ギルドに寄りたい」
「ん? ここにギルドがあるのか?」
「ああ。ここは大きめの村で出入りも比較的多いからな。そういうところにはギルドがある。兄貴に連絡をしたいんだ」
「連絡?」
「ああ。ギルド同士では直接連絡ができるように魔導具が設置してあるんだ。緊急時の応援要請や各種情報の共有が主だ」
「へぇ。誰でも使えるのか?」
「まさか。ギルマス、副ギルマス、それからB級以上の冒険者だな。商業ギルドも同様の魔導具を備えている」
「すごいな。で?」
「兄貴から奴らの情報をもらうつもりだ」
「でも大丈夫なのか? 足がつくというか、第三者に知られるとか」
「心配ない。オレと兄貴独自の暗号でやり取りするから、第三者からはふつうの文章にしか読めないようにできるんだ」
「わかった」
ランドルフがノートに送る内容を書いてくれた。うん、ギルマスに向けての報告書にしか読めない。
内容も
“商人の護衛、順調。
商人、ボンバルディア・ビートルの素材を持つ。
高価買取を望む。
新たなボンバルディア・ビートルの出現情報も求む。
ランドルフより”
「このボンバルディア・ビートルって?」
「虫系の魔獣。素材は匂い袋で、激臭だ。ふつうなら誰も買わない。ここでは王族のことだ。訳すと“臭い王族のお宝を持っている。王族の情報をくれ”ってところだな」
「全然、読めねぇ」
四人もうなずく。
「兄貴なら、すぐに返事を送ってくれるだろう」
それでオレたちは各部屋へと戻り、就寝。
※ボンバルディア・ビートル
独自魔獣。へっぴり虫。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




