039【旅の心得】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、2話連続投稿します(1話目)
二度寝してしまいました。ごめんなさい。
起こされたのは、翌朝で、朝日もまだ。空が白けるちょっと前だ。
空を見ると、星がまだ残っている。
起こしたのは、エイジ。
「何かあったか?」
「いや、起こしてこいって、ランドルフさんが。朝日が登ったら出発すると」
「あぁ、そういうことか」
女子ふたりは、オレが起こす。
ふたりともまだ寝惚けている。
朝飯は昨日と同じ。
馬を馬車に繋ぎ、竈門を崩し、残り火に砂利をかける。
地図をみんなで確認。今日の予定はふたつ先の村だ。そこに着けば、宿屋があるという。
「御者をサブ、キヨミ、マナミに教える。エイジとハルキは荷台で休め。よく頑張った」
ホッとする男子ふたり。
御者台にオレとランドルフ。手綱をオレが取る。ランドルフいわく、馬に乗るよりは簡単だとか。まぁ、乗る気はないけどさ。
「この馬は、頭がいいからな。それに経験もあるらしい。若い馬だと走りたくて、言うことを聞かないことも多々ある」
「ほどほどってこと?」
「ああ。だが、耳もいいからな。悪口は御法度だ」
「よろしくな。そういえば、名前を聞いてなかったな」
「言ってなかったか? ラキエルだ」
「ラキエルか。よろしくな、ラキエル。長旅になる。無茶はしないつもりだが、場合によってはあり得るから」
ラキエルは、わかった、というように嘶く。
本当に頭がいいんだな、この黒馬は。
動き出し、旅の再開。
女子ふたりと交代交代しながら行く。
街道は馬車の行き来が多いのか、土が硬い。まぁ、多少の凸凹はあるが、ランドルフに言わせると、たいしたことではないらしい。
途中、反対方向から馬車が来た。乗り合い馬車のようで、荷台に人が多く座っている。
「路肩に停めろ。それから御者に手を振ってやれ。笑顔でな」
路肩に停めて、笑顔で手を振る。
相手は被っていた革製の帽子を上げて、笑顔で頭を下げた。
そのまま、すれ違っていく。
「行手に問題がなければ、こうやる。気持ちいいだろ。場合によっては、情報交換する。この先の村は病気が流行っている、とかな。そうすれば、危険を避ける判断ができる」
「なるほどな。旅の心得ってところか」
「そうだ」
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




