036【ヌイグルミの理由】
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短いため、3話連続投稿します(1話目)
クッションを抱いているキヨミに聞いてみる。クッションがヌイグルミに見えてきたから。
「キヨミ、どうして、ヌイグルミを作るようになったんだ? 別に話さなくてもいいんだが」
「大丈夫。うちは父子家庭でね。家に帰っても誰もいなかったの。マナミが遊んでくれるけど、帰ったらひとりでしょ。あるとき、テレビを見ていて、ヌイグルミ作家さんがヌイグルミを作っているのを見たの。自分で欲しいヌイグルミを作れるなんて、すごいと思った。それで作りはじめたの」
「そっか。材料は小遣いで?」
「そ。あとはお年玉とか。手芸屋さんが近くにあってよかったわ」
「こっちでも裁縫道具や布は手に入れられるだろう。落ち着いたら、また作ればいい」
「うん、そうする」
「それでお店を持って、販売するのもいいな」
「販売? あぁ、いいかも。でも売れるかなぁ?」
「キヨミ」とマナミが声をかける。「大丈夫よ。あなたの子たち、みんな、カワイイもん」
「ありがとう、マナミ」
「そういうマナミは? 何かやってみたいことは?」
「特にないなぁ」
「お嫁さんが夢とか?」
「どうかな」と言いながらも恥ずかしげ。
オレは、そんな会話をしながら、手作業を続ける。彼女らもその手作業が何かを知っているので、疑問にも思わない。と思ったのだが……
「サブさん、いくつ作るつもり?」「それで10個目だよ?」
「うん。手榴弾に使えるかと思って」
「手榴弾? それって、スタンガンでしょ?」
「そう。でもちょっと改良してあるんだ」
「具体的には?」とキヨミ。
鑑定が反応する。
「実演するよ」
「実演?」
ふたりが首を傾げる。
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