035【ひとりでの逃亡】
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短いため、3話連続投稿します(3話目)
不寝番のローテーションは、オレが前半、ランドルフが後半。四人は女子ふたりが先に、男子はひとりずつとする。たぶん、途中で女子ふたりが眠くなるだろう。そこで交代すればいい。男子はハルキが先。
気配察知の使えるオレとランドルフが一緒に寝てしまうわけにいかないからな。
ランドルフは馬車の前輪に背中をくっつけて寝る。男子ふたりはクッションを敷いて地面で寝る。三人ともローブを身体に巻いて。馬車の中は、女子ふたり用だ。
彼らのイビキが小さく聞こえてきた。
「寝たみたいだな」
「サブさん」とマナミ。
「ん?」
「どうして、ひとりで逃げなかったんですか? サブさんなら逃げられたでしょう?」
「どうかな。王様が別の部屋で優遇するとか言ってたけど、たぶん殺されてたと思う」
「えっ」とふたり。
「だって、なんの能力もない人間だよ。いや、秘密裏に神様にチート能力をもらっているけど、内緒だし。そんな人間を置いておくような王様でもないだろう。欲にまみれた感じだし。一番、手間のかからない方法は手っ取り早く殺すこと。別の部屋で最後の晩餐食べさせて、毒を盛る。確かに優遇かな」
「そうですね」とキヨミ。
「それにひとりで逃げ出したとしても、城から出られたとも思えないな。バキュームを使って、混乱しているあいだに逃げるとしても、かなりの時間がかかるだろうしな。城外に出てもすぐに捕まるだろう。そうして、最後の晩餐」
「ならアタシたちは一蓮托生?」
「うん。どっちにしても仲間がいた方が心強いよ」
ふたりともうなずく。
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