033【スマホ】
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短いため、3話連続投稿します(1話目)
「ウルフは、どうする?」とランドルフ。「毛皮や牙なんか、冒険者ギルドで売れるぞ。捌けば、肉も食える」
「うまいのか?」
「それなり、だな」
「解体できるか?」
「まぁな。新人冒険者のころは獲物の全部をそのまま持っていけないからな。素材だけにして、持ち帰っていた。ウルフ八匹だと討伐部位の牙を持ち帰った。身軽にしておくのは冒険者の心得のひとつだ」
「なるほどな。必要以上に持ち帰ろうとすると、動くのが大変。そんなところを襲われたら、ということか」
「そうだ。で、どうする?」
「まぁ、重くはないが……イザという場合の食料にしよう」
「そうだな。ここで捌いて、血のニオイをさせて、別の魔獣が来ないとも限らないな。いい判断だ」
「少し早いが寝るか」
ポケットから取り出した腕時計を見ながらつぶやく。
「なんだ?」
ランドルフに腕時計を見せる。アナログタイプの自動巻き腕時計。高くはないが頑丈なタイプだ。ソーラーでもないし電波時計でもない。十気圧防水。
「時計だよ。街では鐘が鳴ってたな。これはもっと正確にわかるものだ」
「時計は、教会で見たことはあるが、すごく大きかったぞ。こんなので、本当に?」
「やはりあるのか。日時計じゃないとは思っていたけど」
「サブさん」とキヨミ。「スマホ、なんとかなりませんかね」
「なんとかって? あぁ、充電か。無理だろうな。バッテリーがあっても一時しのぎにしかならないし」
「ですよね」
四人がため息を吐く。
「なんだ?」とランドルフ。
オレは、自分のスマホを出して見せる。
「魔導具の一種かな。これで遠くの人と話ができたり、景色を絵にすることもできる」
操作して、富士山の画像を見せる。
「おお、きれいな絵だな」
アイドルの画像も。
「すごい絵師だな」
彼に向けて、シャッターを切る。それを見せる。
「えっ? オレ!?」
「絵師じゃなく、これで写し撮るんだ」
「すごい魔導具だな」
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