029【コショウ】
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短いので、3話連続投稿します(3話目)
マナミの料理のお時間。
まず、ゴブレットのスープを鍋に移す。そこに干し肉を小さくして入れる。そしたら商品の野菜を切って入れる。そのまま、焚き火にかける。ちなみにゴブレットはアツアツなので、革手袋を使うよ。
空いたゴブレットにふたたび水をオレに入れさせ、火にかける。これは食後に飲むため。
煮ているあいだに、黒パンをカット。これはここまで。
鍋の灰汁抜きして、味見して、塩コショウ。
出来上がり。
木製の深皿によそって、まわす。
いただきます。
「美味い!」とランドルフの叫び。「この黒いツブツブか? 少しピリッとするが」
「コショウだろ」
「コ、コショウだと!? そんなバカ高いものを使うな!」
「いやいや、大量にあるし。ペッパーミルがあることに、オレは驚いているんだが」
「高いの?」とマナミが聞いてくる。
「同じ重さの金だか銀と価値は同じ、っていうのは聞いたことがあるな。大航海時代の話な。輸送コストが高かったんだよ」
「私たち、ふつうに使ってた」
「そうだな」
「価値観が違い過ぎて、頭が痛くなるぞ」
「悪いな、ランドルフ」オレは苦笑いする。「まぁ、金品財宝は山ほどあるから、売るつもりもないがな」
「コショウはどのくらい、あるんです?」とエイジ。
「白黒両方、“一斗缶”三つずつくらい」
「イットカンって何?」とマナミ。
「グォォォ、オレはおっさんじゃねぇぞぉ!」と叫んでから真顔になって答える。「液体が約十八リットル入る金属の缶。このくらいの」と両手でサイズを示す。「缶」
「こわっ」と四人にビビられてしまった。
「おい、サブ」とランドルフ。「それ、人前で使うなよ。余計な騒動に巻き込まれる」
「じゃぁ、旅のあいだはダメかぁ」と残念そうな顔をしてみせる。
「い、いや、オレたちだけなら大丈夫だ」
慌てて言い直したよ。それだけ、うまかったんだな。
四人もホッとしている。
ただ、ランドルフにとっては、塩分が少なめだ、と言うので、今後は自分で調整してもらうことになった。
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