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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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288/648

288【領主様との会談・その五】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


2話連続投稿します(1話目)

「しかし」と考え込む領主様。「サブ殿のやり方を我ら騎士団は受け入れがたいであろうな」

「よくは知りませんが、騎士ひとりひとりにも役職というか、技能はあるのでしょう? 中には魔法を使うような人も」

「魔法は生活魔法レベルだ。騎士は、馬術、剣術、槍術、弓術などの武術を磨いた者ばかり。魔導具を使っての闘いは、考えておらぬ」

「サブ」とランドルフ。「騎士とは、そういうものだ。おのれの技量のみが自分を生かすのだ、と信じて疑わない」

「なるほどな。しかし」と領主様に問う。「魔獣を倒す効率の良い方法を模索しないのですか?」

「剣や槍や盾の使い方を考える程度であるな」

「では、魔法使いを騎士団と同行させることは?」

「多くの魔法使いは、戦闘には向かぬ。長時間の戦闘ともなれば、なおさらであるな」

「活用されようとお考えにはならない、と?」

「活用?」

「そうです。それぞれの特徴を活かし、運用する。ベルタルク辺境伯様は、さまざまな人材を現場に連れてまいりました。運用方法は見ることはかないませんでしたが、鑑定した者たちは、それほど力のある魔法使いではありませんでした。ということは、運用次第で、人は使える、ということでしょう」

 ムムッ、と唸ってしまう領主様。

 ヒントを渡すか。

「領主様、お屋敷では、多くの人を雇っておいでかと思います」

 話題が変わったので、面食らう領主様。

「うむ」

「そのすべてを領主様が指示されておいででしょうか?」

「いや。指示などせずとも、屋敷はまわっておる」

「指示を出すときは?」

「家令に言っておるが?」

「人の運用は、それと同じでございます」

 最初はわからなかった領主様だが、次第に脳に染み込んでいったようだ。

「そういうことか。つまり、人を使う人間を配置すれば、良いのだな」

「まさしく」

「なるほど。良い提言をいただいた。感謝する」会釈程度に頭を下げた領主様。


 それから少し考え込む。上目遣いにオレを見る。

「ちなみに、これまで、魔獣は、何を相手にしてきたか。ゴブリン、ヒュージアント、ほかにもいるであろう」

「討伐したのは、ツノウサギ、ウルフ、アーマードベア、オークにオーガ。あと、ボアもいたか。本体は見ていませんが、ドミネイト・ビーという蜂系魔獣の卵を植え付けられた魔獣の繭を見つけたので、それを生き埋めにしましたね。ちょっと数が多過ぎたので。ほかの魔獣が狩ったのは、ジャイアントディアー、レッドボアーかな」

「サブ、おまえの従魔を忘れているぞ」

「えっ、アイツらも入れちゃうの?」

「相手しているだろう?」

「それもそうか」

「待て待て」と領主様がオレたちの会話を妨げる。「サブ殿は、テイマーでもあられるのか」

「まぁ」

「それで何を」

 オレが答える前に、ランドルフが答えた。

「エッへ・ウーシュカとケルピーとスノータイガーです、叔父上」

「なんだ? エッヘ?」

「ご存知ありませんでしたか。魔獣図鑑には、書かれてあったのですが」

「魔獣図鑑……隅々まで見たが」

「湖の魔獣です、叔父上」

「湖だと?」それをヒントに思い出そうとする領主様。顔を上げた。

「思い出した。確かにその記述があった。しかし、お伽噺や伝説の類いだと」

「そうです。私もこの目で見るまでは、そういうものだとばかり思っておりました。実際は、川に住んでいたケルピーが、湖に生活の場を変えて、長い年月をかけて、育ったものでした」

「なんと」と信じられない顔。「そんな魔獣をテイムした?」と今度はオレを見る。「どうやって、倒したのか」

「いや、倒してはいませんよ。四頭とも」

「四頭?」

「ええ。スノータイガーは(つが)いでテイムしました。彼らは、冬場にメスが妊娠して、エサとなる魔獣が少なくなり、人間の村を襲う寸前でした。それで私が近寄り、話をして、保護することにしました。その過程でテイムした次第です」

「待て待て。話をした、と」

「はい。私のスキルで、他種族の言葉を理解する、というものがあります。それで話しました。といってもこの口で話せる言葉だけですけど」

「そんなスキルがあるとは。それで、スノータイガー以外は」

「エッヘ・ウーシュカについては、倒したゴブリンの処理に困って、湖に流していたら、エッヘ・ウーシュカが現れて食べたので、それからはほぼ毎日、ゴブリンを流して、与えました。それで懐かれて。まぁ、そんな感じです。ケルピーについては、そいつが欲に溺れて、勝手に契約されました」

「はぁ?」

「いや、そのケルピー、普段は馬の姿をして、人間を騙していたのです。それで鑑定でケルピーだとわかって。ケルピーは雑食性なので、肉を食べるのか?と聞いたら、食べたい、と甘噛みされまして。で、人間の前では食べるなよ、と約束させようとしたら、勘違いして契約されたのです。その間違いを指摘したら、かなりのショックを受けてました」今、思い返しても笑える。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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