274【兵隊アリ】
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2話連続投稿します(1話目)
翌日。冒険者ギルドで提案。すぐに作戦会議。それから担当を決め、討伐に徒歩で赴く。
その行列は、町に一番近いところまで来ていた。獲物はどうやらこのエリアに迷い込んできたウルフの群れらしい。解体が行なわれ、どんどんと運び出されている。
オレたちは、その運び屋たちの前方に走り、位置決めをする。向こう側では、荷物のない運び屋たちが、エサを運ぼうと並んでいる。
エサを持つ運び屋たちは、そばにオレたちがいるにも関わらず、というか見えていないかのように無視している。
ふたりが二匹ずつに、閃光発生器を照射。複眼が白くなり、固まる運び屋。
そこを四人の首切り人が、ミスリル剣で断ち斬る。
補助者が遺骸をアイテムボックスに入れる。ちなみに運んでいたウルフの肉団子も一緒に回収する。
これを繰り返していく。運び屋たちは疑問にも思っていないようだ。仕事に一途、ということだな。偉い偉い。こちらは助かるよ。
順調に討伐作業は続く。途中、休憩のために選手交代したり、魔力のなくなった閃光発生器の魔石を交換したものを手渡したりした。休憩に入った人員は、それぞれの休み方で休む。やはり、単純作業は退屈で飽きてくるから、こうして休憩を入れる必要がある。
ふと、肉団子を持っていない運び屋たちが現れた。
周囲を警戒していたオレが、解体現場を見に行く。
案の定、現場にウルフの姿がなくなっていた。
戻って報告。
「獲物はなくなった。用のなくなったヤツが来る。解体者もいる。警戒してくれ」
討伐しながらも、警戒していると、向こう側のヒュージアントが次々に向きを変えて、巣穴に戻っていく。
オレたちの前をとおるヒュージアントがいなくなる。
「よし。お疲れ様。町に戻るぞ。戻るまで、油断するなよ」
おう、と力ない返事。まぁ、魔獣は出てこないけども。
今日の成果は、四百匹少々。多い少ないの判別はつかない。まだまだいるから。
こんな討伐作業を連日行なった。行列の解体現場に、わざとエサ(ゴブリンの遺骸)を置いて、搬送作業を長引かせての討伐もした。
運び屋の討伐をはじめて、五日目。とうとう行列に、兵隊アリの姿が現れた。運び屋のふた回りはデカく、アゴもより強そうだ。十メートル単位で一匹、護衛についている。
オレたち以外を避難させる。
まずは、オレが兵隊アリに閃光発生器を照射して、反応を見る。そのため、隠遁して浮遊し、近付く。真正面で照射。先にみんなに手で合図してから、目を閉じて、スイッチオンして、すぐさま上昇する。
三秒して、下を見る。やはり複眼が白くなって固まっている。そして、二十五秒を待つ……いや、十秒で回復した。
その兵隊アリは、何かを探している。オレのことだろうな。
もう一度。今度は討伐するつもりだ。
真正面で照射。が、閃光発生器を持つ手を払われた。早い!
すぐさま離れる。
剣からミスリルナイフに切り換える。
兵隊アリの上から、馬乗り。ヒザを締めて、頭が動かないようにしてから、触角をカットする。右側、左側と。それから予備の閃光発生器で照射して、すかさず上昇。
兵隊アリは、固まった。
剣を取り出し、真上から、一刀両断する。
頭が落ちた。身体も落ちた。
回収する。落とされた閃光発生器も。
それからみんなのところへ。
「まいった。照射は初見のみだな。そして、停止時間は十呼吸。それから、振り払われたんだが、恐ろしく早い。一瞬のうちに払われた。前に立つのは危険だな」
「ならば」とランドルフ。「オレが大盾で抑えているあいだに、照射したらどうだ?」
「まぁ、そうなるだろうな。マナミ、済まんが治癒してくれ。打ち身で済んだが、痛みが結構酷いんだ」
マナミが治癒してくれる。礼を言う。
ランドルフの大盾で、兵隊アリを抑え、エイジが照射、固まったところをハルキが首チョンパ。兵隊アリにこれを繰り返す。
ほかの面々は、運び屋の討伐だ。
この日は、兵隊アリを二十匹余りの討伐をした。運び屋は六百匹ほど。
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