026【スキルとヌイグルミ】
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短いので、2話連続投稿します(2話目)
夕方。馬車の停車とともに野営の準備にかかる。
「テントは張るなよ。わかっているか?」
ランドルフ先生の講義はすでに馬車の上で終えていた。
「突然の魔獣の襲撃に備えるためです」とハルキ。
「良し。オレとおまえで、薪探しだ。ほかのみんなはあそこの石で竈門を作ってくれ。ランタンはあるか?」
オレが出す。
「はじめてくれ」
ふたりが薪拾いに行く。
オレはまずランタンを点ける。それから竈門を作ろうとしたら、もう出来上がっていた。
「早いな」
「マナミ、ガールスカウトだったのよ」とキヨミ。
「うわぁ。おまえ、何者なんだよ」とマナミを見て、笑顔で感心するオレ。
「お母さんに入れられた」とつぶやく。
「そういうのは、ステータスに出てこないんだな」
「……出てるよ? ステータス・オープン」
ウィンドウが現れる。それを見るオレとキヨミとエイジ。
確かにスキルに追加されている。“合気道”・“護身術”・“ガールスカウト”・“料理”。
「ふむ。使った。それで思い出した。それがスキル登録されたって感じか」
それを聞いて、エイジとキヨミが自分のステータスを確認する。
「ホントだ。“熟考”が増えてる」
「私はない」
「これからだろう。何かやってなかったのか?」
「キヨミは、お勉強」とマナミ。「あと、ヌイグルミ作りよね」
「ヌイグルミ?」とエイジが驚く。「そんなこと、知らねぇぞ。聞いたことねぇ」
「当たり前でしょ」とマナミ。ちょっと怒っている? 「友達、アタシしかいないし。誰にも内緒にしてたもの」
「まぁ、ふたりが友達っていうのは知ってたけど。ヌイグルミ作りかぁ。イメージ崩れるな」
「勝手なイメージ、作らないでよ」と頬を膨らますキヨミ。ちょっとカワイイ。
「オイオイ、仲間割れするなよ」とランドルフとハルキが戻ってきた。
「してません」とエイジ。「ちょっと意外だっただけで。悪いな、キヨミ」
「うん」
ハルキがなんの話かを、エイジに聞く。
そのあいだにマナミが、薪を区別していく。
「へぇ。いいな。ちょっと得した気分。告ってよかった」
キヨミが真っ赤になる。
今度は、マナミが膨れっ面。友達、取られたって感じかな?
マナミがキヨミに、火付けを指示。指揮棒のような杖で詠唱して、細い枝に火をつける。それをマナミが少しずつ火を大きくしていく。
「慣れてるな」
「子どものころにやってたらしいです」とエイジ。
「そうか。ありがたいな。おまえたちもできるように教わっておけよ」
オレたちはうなずいた。
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