246【オーガとの交渉】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し長いため、2話連続投稿します(1話目)
小一時間ほどで、戦闘は終わった。オーガの圧勝である。
そこへオレは出ていく。
オレに気付いたオーガが襲いかかる。
オレは持っていた剣を前に投げた。
その行動に固まるオーガ。
異世界言語でオーガ語を選択。
「すまない。コイツら、はみ出し者。抑える、できなかった」
振りかぶっていたオーガが、棍棒を降ろす。
「お詫び、ケガ、治す。ゴブリン、たくさん。許して」
「アイツら、喰う」と倒れた騎士を指差す。
「ダメ。アイツら、掟、守る、できない。我ら、許さない。連れて、いく」
「掟、大事。馬、どうだ?」
「ダメ。我ら、財産」
「待て。長、確認、する」
「わかった。ケガ、治す、どうするか」
彼が、まわりを見る。ケガを負った者が多い。
「治す、許す」
オレは、うなずいた。
彼が、長のところへと行く。
オレたちは、それぞれのオーガの治療に赴く。
オレは、騎士たちの遺骸を回収する。中には、生きている者もいたが、この手で引導を渡した。それで回収。
人間を殺めたのは、初めてだ。まぁ、オーガに喰われるよりは、いいだろう。
馬も集める。ケガしている馬は、ポーションで治す。百以上の馬だったが、何頭かは、森へと逃げていった。あとで、連れてこないとな。
さきほどのオーガが、もうひとりとやってきた。
「おまえ、長か」と新しいオーガ。
「オレ、長。集落、乱した、すまない」
「ケガ、治す、助かる。ゴブリン、くれる、本当か」
「本当。狩り立て、いっぱい」
オレは、ゴブリンを出してみせる。
オーガたちが驚いている。突然、出てくるのも、その量にも。
「おまえたち、食べないか」
「食べない。大丈夫。ほか、食べる」
「わかった。謝罪、受ける」
ホッと安堵する。
「人間」と長。その声で、意識をはっきりさせる。
「何か」
「ひとつ、困る、ある」
長が、ひとりのオーガを呼ぶ。子どもと思われるオーガが来た。胸に何かを抱えている。なんだろう?
子どもが見せてくれる。そこには、人間族の赤ん坊。大きくはない。
「人間、赤子、世話、わからない」
「これ、どうした?」
「森、泣く、見つけた。でも、世話、できない」
「わかった。預かる。いいか」
長の顔が安堵を見せる。
「頼む」
馬を引き連れて、集落を去る。
逃げた馬を索敵して、一緒に連れていく。
「赤ん坊かぁ。どうするよ、これ」とダルトン。「まぁ、連れ帰って預ける、一択だけどね」
「どっちにしても、見てもらわないとな」
指をしゃぶっている。少し泣いてる?
「栄養ポーション、大丈夫かなぁ」
念のために、鑑定さんにお伺いしたよ。
「おっ、イケそう」
しゃぶっている指に栄養ポーションを塗って、口元に戻す。また、しゃぶりはじめた。一瞬、止まるが、しゃぶり続ける。
何度か、付けては、しゃぶりを繰り返す。
まるまる一本が空いてしまった。
飲み終わったんだから、背中を叩くんだよな。
ポンポン叩くと、ケフッとゲップ。
「お子さん、いるんですか?」とキヨミ。
「まさか。友達に産まれてね。こっちに頼まれそうだったから、ちょっと勉強したの」
「頼まれるって。そのお友達さん、どういう人なんですか?」
「出張が多くてね。奥さんのお産にも付き合ったよ。その後は、産休取らないとまずい、って結構な期間、産休してた。だから、オレの勉強は、不発に終わったのでした」
馬は、近くのネホン村に預けた。子どもを預けられる人がおらず、連れ帰ることに。
ちなみに、このネホン村の村人は、麻薬に侵されていなかった。
帰りは、浮遊して、スピィーディーに。
冒険者ギルドでは、結果待ちの冒険者とスタッフたちがおり、安心して、というダルトンの声に、みんなが喝采を上げた。
オレは、女性スタッフのところに行き、赤ん坊を見せる。世話を頼める人の紹介を頼むと、ひとりの女性が連れてこられた。
森で拾ったことにして、話す。
「こりゃ、成人前の子に孕ませたね。自分でどうしていいか、わからずに産んだんだよ。酷いねぇ」
「だから、こんなに小さいのか」
「とにかく、預かるよ」
「お願いします」
「任せな。とはいえ、小さいからねぇ」そこで言い淀む彼女。すぐに死ぬかも、と思っているのだ。
「そのときは、そのときです」
「ありがとよ」
「とりあえず、スープを飲ませてあります。ゲップも出ました」
「どうやって、飲ませたんだい?」
「指をしゃぶっていましたから、指にスープを付けて」
「なるほど」
彼女はそれで帰っていった。
「よかったな」とランドルフ。「こっちは、報告を済ませた」
「あっ、そうだった。あれは先遣隊だった。後方の村に駐留している部隊がある」
「大丈夫なのか?」
「今は動いていない。先遣隊の連絡を待っているんじゃないかな。だから、二日三日は大丈夫だと思う」
「どちらにしても、まだまだ時間がかかりそうだな」
「だな。とにかく、帰って飯食って寝よう」
「賛成。とりあえず、今のを報告してくる」
宿屋に戻ると、温かなニオイが出迎えてくれた。ラーナが作ってくれていた。ありがたい。マナミは、治癒魔法を連続で使って、結構疲れていたからな。
食事を終え、お茶休憩。なのだが、みんな舟を漕ぎ出しはじめた。彼らを眠らせる。
大人三人だけで、話す。
「まさか、オーガと話すとは思わなかったよ」とダルトン。
「当然だろ。集落を襲わせたことになるんだからさ。ヘタをすれば、まわりの村や町を襲撃される可能性さえあったんだから」
「まぁね。でも、ゴブリン、出し過ぎじゃない? ラキエル、不貞腐れるかもよ」
「そこは狩りをしてきますよ」
「まぁ、それがテイマーの努めですからねぇ」とほくそ笑む。
「へぇへぇ」
もう少し話して、歯にクリアして、横になった。
意外と疲れていたようで、すぐに夢の世界へと旅立った。
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