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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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246/648

246【オーガとの交渉】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、2話連続投稿します(1話目)

 小一時間ほどで、戦闘は終わった。オーガの圧勝である。

 そこへオレは出ていく。

 オレに気付いたオーガが襲いかかる。

 オレは持っていた剣を前に投げた。

 その行動に固まるオーガ。

 異世界言語でオーガ語を選択。

「すまない。コイツら、はみ出し者。抑える、できなかった」

 振りかぶっていたオーガが、棍棒を降ろす。

「お詫び、ケガ、治す。ゴブリン、たくさん。許して」

「アイツら、喰う」と倒れた騎士を指差す。

「ダメ。アイツら、掟、守る、できない。我ら、許さない。連れて、いく」

「掟、大事。馬、どうだ?」

「ダメ。我ら、財産」

「待て。長、確認、する」

「わかった。ケガ、治す、どうするか」

 彼が、まわりを見る。ケガを負った者が多い。

「治す、許す」

 オレは、うなずいた。

 彼が、長のところへと行く。

 オレたちは、それぞれのオーガの治療に(おもむ)く。

 オレは、騎士たちの遺骸を回収する。中には、生きている者もいたが、この手で引導を渡した。それで回収。

 人間を(あや)めたのは、初めてだ。まぁ、オーガに喰われるよりは、いいだろう。

 馬も集める。ケガしている馬は、ポーションで治す。百以上の馬だったが、何頭かは、森へと逃げていった。あとで、連れてこないとな。

 さきほどのオーガが、もうひとりとやってきた。

「おまえ、長か」と新しいオーガ。

「オレ、長。集落、乱した、すまない」

「ケガ、治す、助かる。ゴブリン、くれる、本当か」

「本当。狩り立て、いっぱい」

 オレは、ゴブリンを出してみせる。

 オーガたちが驚いている。突然、出てくるのも、その量にも。

「おまえたち、食べないか」

「食べない。大丈夫。ほか、食べる」

「わかった。謝罪、受ける」

 ホッと安堵する。

「人間」と長。その声で、意識をはっきりさせる。

「何か」

「ひとつ、困る、ある」

 長が、ひとりのオーガを呼ぶ。子どもと思われるオーガが来た。胸に何かを抱えている。なんだろう?

 子どもが見せてくれる。そこには、人間族の赤ん坊。大きくはない。

「人間、赤子、世話、わからない」

「これ、どうした?」

「森、泣く、見つけた。でも、世話、できない」

「わかった。預かる。いいか」

 長の顔が安堵を見せる。

「頼む」


 馬を引き連れて、集落を去る。

 逃げた馬を索敵して、一緒に連れていく。

「赤ん坊かぁ。どうするよ、これ」とダルトン。「まぁ、連れ帰って預ける、一択だけどね」

「どっちにしても、見てもらわないとな」

 指をしゃぶっている。少し泣いてる?

「栄養ポーション、大丈夫かなぁ」

 念のために、鑑定さんにお伺いしたよ。

「おっ、イケそう」

 しゃぶっている指に栄養ポーションを塗って、口元に戻す。また、しゃぶりはじめた。一瞬、止まるが、しゃぶり続ける。

 何度か、付けては、しゃぶりを繰り返す。

 まるまる一本が空いてしまった。

 飲み終わったんだから、背中を叩くんだよな。

 ポンポン叩くと、ケフッとゲップ。

「お子さん、いるんですか?」とキヨミ。

「まさか。友達に産まれてね。こっちに頼まれそうだったから、ちょっと勉強したの」

「頼まれるって。そのお友達さん、どういう人なんですか?」

「出張が多くてね。奥さんのお産にも付き合ったよ。その後は、産休取らないとまずい、って結構な期間、産休してた。だから、オレの勉強は、不発に終わったのでした」


 馬は、近くのネホン村に預けた。子どもを預けられる人がおらず、連れ帰ることに。

 ちなみに、このネホン村の村人は、麻薬に侵されていなかった。


 帰りは、浮遊して、スピィーディーに。

 冒険者ギルドでは、結果待ちの冒険者とスタッフたちがおり、安心して、というダルトンの声に、みんなが喝采を上げた。

 オレは、女性スタッフのところに行き、赤ん坊を見せる。世話を頼める人の紹介を頼むと、ひとりの女性が連れてこられた。

 森で拾ったことにして、話す。

「こりゃ、成人前の子に(はら)ませたね。自分でどうしていいか、わからずに産んだんだよ。酷いねぇ」

「だから、こんなに小さいのか」

「とにかく、預かるよ」

「お願いします」

「任せな。とはいえ、小さいからねぇ」そこで言い淀む彼女。すぐに死ぬかも、と思っているのだ。

「そのときは、そのときです」

「ありがとよ」

「とりあえず、スープを飲ませてあります。ゲップも出ました」

「どうやって、飲ませたんだい?」

「指をしゃぶっていましたから、指にスープを付けて」

「なるほど」

 彼女はそれで帰っていった。

「よかったな」とランドルフ。「こっちは、報告を済ませた」

「あっ、そうだった。あれは先遣隊だった。後方の村に駐留している部隊がある」

「大丈夫なのか?」

「今は動いていない。先遣隊の連絡を待っているんじゃないかな。だから、二日三日は大丈夫だと思う」

「どちらにしても、まだまだ時間がかかりそうだな」

「だな。とにかく、帰って飯食って寝よう」

「賛成。とりあえず、今のを報告してくる」


 宿屋に戻ると、温かなニオイが出迎えてくれた。ラーナが作ってくれていた。ありがたい。マナミは、治癒魔法を連続で使って、結構疲れていたからな。

 食事を終え、お茶休憩。なのだが、みんな舟を漕ぎ出しはじめた。彼らを眠らせる。


 大人三人だけで、話す。

「まさか、オーガと話すとは思わなかったよ」とダルトン。

「当然だろ。集落を襲わせたことになるんだからさ。ヘタをすれば、まわりの村や町を襲撃される可能性さえあったんだから」

「まぁね。でも、ゴブリン、出し過ぎじゃない? ラキエル、不貞腐れるかもよ」

「そこは狩りをしてきますよ」

「まぁ、それがテイマーの努めですからねぇ」とほくそ笑む。

「へぇへぇ」

 もう少し話して、歯にクリアして、横になった。

 意外と疲れていたようで、すぐに夢の世界へと旅立った。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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