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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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229/648

229【大雨は、念話が便利】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、2話連続投稿します(2話目)

 翌朝。目覚めると、男全員が寝ていた。

 静かに抜け出すと、キッチンで女子の声。顔を出す。

「おはよう」

「「「おはようございます」」」と三人娘。いいねぇ。朝から女子の明るい声というのは。

「みんな、よく眠れたかい?」

 三人ともいい返事。

「よかった。男どもは、まだまだみたいだ」

「ウーちゃんもですよ」とマナミ。

「まぁ、今回は頑張ったからね。朝食には起きるだろう。ラーナとは、どうだい?」

「いい子ですね。片言でも自分から話してくれて」

「お互い、しゃべる、大事」とラーナ。

「そうだな。ラキエルを見てくる」


 ドアの外は、土砂降りだった。バケツをひっくり返したみたいな、というよりも、滝の中にいる気分だ。

 ラキエルのいるテントを見る。あれ、いない。索敵すると、森の中にいた。まわりの魔獣をチェック。いるいる。でも小物ばかりだ。

『ラキエル、何をしているの?』

『びっくりしたなぁ。草を食べてるの。ここしばらく、新鮮な草を食べてなかったからね』

『あぁ、なるほど。でも、出掛けるときは、ひと言、欲しいよ』

『心配した?』

『心配した。ゴブリン、食べるか?』

『ひとつでいいや』

『了解。テントに置いておくな』

『了解』



 土砂降りは、それから四日も続いた。その翌日には、信じられないくらいの快晴となった。


 外のようすを確認するために、ドアを開けた。でもすぐに閉じた。グググ。怖がっても仕方あるまい。深呼吸する。それから意を決して、ふたたび、ドアを開けた。

 そこには、村の男たちが、立っていた。おのおのに武器を手にして。怒りと恐怖の顔付きで。

「おはようございます!」と声を張る。「サブと言います。大雨の中、道に迷い、お邪魔いたしました。許可も得ずに申し訳ございませんでした」と頭を深々と下げた。

 少し間があり、男の声がした。

「頭を上げてくれ。話がしたい」

 ゆっくりと頭を上げる。

 声のヌシが、一歩、前に出ていた。

 なんともいえないが、彼が村長だろうか。

「この村に長はいない。だが、代表して、オレが話す」

「わかりました」

 全体的に見ると、獣人が多い。人間族もいるし、ハーフエルフもいる。そして、代表だと言ったのは、肌の浅黒いダークエルフだった。ここで一番の年長は、彼だ。だが、エルフなのだから、年齢からすれば、若いはずだが、そうは感じない。

「オレは」とダークエルフ。「ゾーンだ。もう一度、名前をいいか?」

「サブと言います」

「サブよ、おまえたちが来た日の大きな気配は、おまえたちに関係があるか?」

 あっ、ウーちゃんのことだね。

「すみません。うちの者です。怖がらせてしまいましたね」

「そうか。今、その者はどうしているか?」

「気配を抑えて、眠っています」

「暴れたりは、しない、か?」

「しません。攻撃されない限りは」

「わかった。あの魔獣は何か?」とラキエルを指差す。草を食んでいる。

「種族はケルピー。名前はラキエル。オレの従魔です」

「ケルピー」驚いて、目を見開いている。「初めて見た」

「でしょうね。ちなみにラキエルも攻撃されなければ、大丈夫です」

「そうか、わかった。仲間は何人だ?」

「オレを含めて、九人、います」

「九人か。馬車からして、商人と護衛の冒険者と見るが、正しいか?」

「正しいです。オレが商人です」

「商品はあるか? 物々交換は可能か?」

 つまり、お金はない、と。

「どんなものが、ご入り用でしょうか? いろいろとあります。また、交換できるものはなんでしょうか?」

 着ている服は、全員が似たようなもの。魔獣の革かな? 家々を見る。小屋を繋げて作ったような感じ。百人がいるにしては、小さい気がする。

「正直、なんでも欲しい。だが、何が売れるのかわからない」

「商人にそういうことを言いますと、ボラれますよ?」と笑む。「わかりました。とりあえず、お互いに出せるものを出しましょう」

「助かる」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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