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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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224/648

224【黒雲】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、2話連続投稿します(1話目)

 途中から、雲が出てきた。黒い雲なので、降ってくるかも。気温も低くなっている。

『ウーちゃん、雨が降りそうだね』

『うむ。別に雨くらいは構わぬが?』

『こっちは構うよ。幸い、町はもうすぐだ。小さくなって、地上を走ろう』

 町を守る壁が遠くに見えている。

『了解じゃ』

 シュルシュルと小さくなって(それでも充分にデカいけど)、地上に降り、地面のちょっと上を駆ける。

 速度は落ちるが、大きいままだと大騒ぎになるからね。まぁ、小さくなったからといって、ふつうの馬に比べたら、全然早い。それに地面を蹴っていないから、突き上げもないしね。


 門が見えてきた。ここで馬化してもらう。それから空気入りの荷物をウーちゃんの首にかけ、オレも背負う。

 ウーちゃんが、軽く走る感じで、門に近付く。

 門衛に近付く前に、オレが降り、門衛と話をつける。護衛(依頼書で証明)で結界を張っていること、ギルドカードがないことを説明。入町料を支払う。

 宿屋を教えてもらい、そちらに向かう。路地裏で、ウーちゃんに人化してもらう。

 宿屋で三人部屋を食事とお湯なしの一泊で借りる。三階の手前の部屋。

 部屋の確認をして、荷物を片して、窓の木戸を閉めた。魔導ランタンを出した。

 ふたりを残して、宿屋をあとにする。


 冒険者ギルド到着。

 やはり、町だけあって、冒険者の数も多い。時間的に依頼達成報告だろう。カウンターも埋まっている。

 外から、ザーッという雨音が聞こえてきた。

「降り出したかぁ」とひとりの小柄な猫獣人の男性。若そう。ドア脇から外を眺めている。ネコは雨にぬれるのを嫌う、と聞いたことがある。彼もそうらしい。

 ほかの冒険者たちも外を気にしている。口々に今後のことを話している。


 カウンターのひとつが空いたのに気付いて、そこに行く。

 カウンターの向こうを見て、躊躇(ちゅうちょ)してしまった。だって、(いか)つい男性なんだもん。

「コラッ、ビビってるんじゃねぇ」とその男性。ううむ、自分でわかっているんじゃん。

 とにかく、前進。

 ギルドカードを出して名乗る。

「B級冒険者のサブです」

「ほぉ」とオレの顔を見る。「見えねぇな」

「従魔が強いんで」

「ふぅん。で? どうやら依頼達成報告じゃぁなさそうだが?」

「王都冒険者ギルドのギルマス宛てに到着報告したい」

「依頼書は?」

 出して見せる。

 彼は受け取り、流し読む。それから立ち上がった。

 カウンターに立て札を立てた。

「おう、来い」太い指でクイクイやる。

 なんで? まぁ、付いていくけども。

 ありゃ、階段登って二階へ? この流れ、ギルマス執務室直行なんですけど?

 あれ、ドア開けて、入っていく。ノックもしないの?

「いつも言っているじゃないですか! ノックしてくださいと!」と女性に怒鳴られているよ?

「オレの部屋だ! オレの勝手だろが!」

「ここはギルマス執務室です! あなたはそこで働いている人で、あなたの勝手にしてはいけません!」

「うるせぇなぁ」

「だいたい、今は下で依頼達成報告を受けている時間ですよね! 時間になるまで、待てないんですか!」

「到着報告だよ! 来い!」とオレを呼ぶ。

 部屋に入る。

 彼の相手をしていた女性は、小人族だった。見た目は成人直後の少女。声を聞いていなければ、そうだと思っていたことだろう。膨れっ面している。

「B級冒険者のサブです。よろしく」

「ご苦労様です。うるさくして、すみませんね」

「いえ。いつものこと、なんでしょう?」

 コクンッとうなずいた。

「それで」とギルマス?「オレがレイバク町冒険者ギルドのギルマス、ロイドだ。よろしくな。そいつは、副ギルマスのマーガレットだ。名前負けしてるがな」と笑う。

「なんか言ったかしら?」と冷ややかな声。「糞踏み坊や」

 ギルマスが真っ赤になった。

「お、おま、いつの話だよ!」と動転している。

 これ、いつまで続くのかな?

 しょうがないなぁ。

 オレは、スタンガンを取り出し、ふたりのあいだに立ち、スタンガンのスイッチを入れる。バリバリバリバリッ。

 ふたりが固まる。

「おい」と笑顔で「いつまで、待たせる、つもり、だぁ?」

 ふたりは何も言わない。

「どちらが、応対、してくれる、のかなぁ?」

「わ、私が」とマーガレットの手が上がった。

 スタンガンのスイッチを切る。

 手には持ったままだよ。いつでも処刑できるように、ね。ふふふ。

「よろしい。到着報告を王都冒険者ギルドのギルマス宛てに頼む」

 オレはソファーに、ドッカと座る。

 マーガレットが書類にペンを走らせ、確認。

 オレの前に、その書類とペンを置かれたので、さっさと記入。追加のメッセージも記入した。

 マーガレットに差し出すと、内容を確認して、部屋の角にある小型冷蔵庫型の箱のところに行き、天板を開け、そこに書類を置き、天板を閉じた。それから天板の一角に()れた。それも数秒。おそらく、あれは魔導具だろう。一種のファックスかな?

 操作を終えると、彼女がそこから離れる。

「報告終了しました」

「ありがとう」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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