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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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220/648

220【|彷徨《さまよ》う馬車】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、2話連続投稿します(1話目)

 翌朝。朝食を食べ、野営を畳む。

 シファーさんに、お別れを言い、ウーちゃんにケルピー化してもらい、ラーナを乗せ、歩き出す。門衛のところで、降りてまた乗る、というのは、面倒だからだ。


 門に近付くと、カトルさんじゃない門衛が立っていた。

「おはよう」と知らない門衛。

「おはようございます。いつもの人は?」

「二日酔いで寝込んでいるよ。失恋して酒飲んで二日酔い」と笑っている。

「大丈夫なんですか?」

「心配ないよ。いつものことさ。伝言、あるかい?」

 少し考えた。それから首を振る。

「いや、いいよ。なんか、キズ口に塩を塗るみたいで」

「ああ、確かに。まぁ、また来てくれよ」

「ああ。また」

 ウーちゃんに乗る。

 ゆっくりと門を(くぐ)り、街道へと進む。


 街道に出ると、一台の馬車が王都方面からこちらへと来ている。

『ようすがおかしいのぉ』

『ん? あの馬車?』

『うむ。御者がおらぬ』

『そういえば、馬車もあちこち傷んでいるな』

「ちょっとようすを見てくる。待ってて」

「はい」

 ウーちゃんを降りて、馬車へと走る。

 近付くと、御者用の手綱が馬から地面に引きずられている。

 馬に、ドウドウと声をかけ、停止させる。

 馬車の御者席に登り、荷台を見た。誰もいない。荷物は荒された形跡もない。荷物から、この馬車の主は、おそらく商人だろうと思われる。

 後方を索敵してみる。誰もいない。街道に魔獣の存在はない。死体を索敵してみたが、こちらも反応がない。

 仕方ない。馬の横に行き、異世界言語で馬語を選択。

「主、どうした?」

 馬の耳がピクピク動く。

「魔獣、襲った?」

「魔獣、襲った。主、いなくなった」

「わかった。付いてきて。安全なところ、行く」

 馬の手綱を引いて、ウーちゃんのところに。

 ウーちゃんを怖がる馬。

「大丈夫。ケルピー、仲間」

「本当?」

「本当」

 ラーナに説明する。

「どうやら魔獣に襲われたらしい。村に引き返して、預けるよ」

「わかりました」


 門衛に馬車を届ける。

 事情を説明する。

 商業ギルドからスタッフが来て、馬の従魔プレートから、商人の名前が明らかになる。

 門衛が、馬や馬車の特徴から、商人を特定していたが、やはり同じ人だった。周辺の村や町を商いの場所にしていた商人だとか。

 ギルドカードを提示し、書類に署名した。後日、口座に情報料が振り込まれる、と言う。

 旅立っても大丈夫、とのこと。

 馬にさよならを言って、門を出た。

 街道を外れ、川に出ると、ウーちゃんが大型化して、川の上を走る。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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