021【内緒話】
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ここからは、王都脱出を果たした召喚勇者一行の逃亡と訓練生活になります。
少し短いため、2話連続投稿します。
(1話目)
太陽が高くなるころ、街道脇に馬車は停まった。
「ここなら話せる、と思う」
「わかった。ドラゴン討伐、失敗するのはわかっていたんだろ?」
うなずく。
「だが、王命では、断れなかったな」
「それで?」
「オレたちもアイツの被害者なんだ」
「どういうことだ?」
「勇者召喚って、わかるか?」
「なっ! アイツ、またやったのか!」
荷台にいる四人を見ると、やっぱりという顔。
「みんな、ステータス」
全員でステータス・オープンと唱える。
ランドルフは、オレたちのステータスの称号を確認する。
「なるほどな。信用する。ちなみにだが、アイツらを一文無しにしたのは、おまえらか?」
四人がニヤニヤとオレを見る。それに気付いて、オレを見るランドルフ。
「おまえが? 巻き込まれたんだろう?」
「ああ。ただし、オレは神様に役目をもらった」
「神様だと?」
そこでオレの役目を説明する。
「その役目は、もう?」
「あぁ、召喚魔法についてのすべてを奪った。あとはこの国から逃げるだけ」
「そうか」
「問題は、ランドルフ、おまえさんだ。オレたちとしては、五人で生きられるくらいの力を付けさせて欲しい。それぞれの能力はあっても、こっちの常識からないからな。だから、国境までは一緒にお願いしたい」
「奴隷のオレをほっぽり出すつもりか?」
「おまえさんならどうとでも生きられるだろう?」
「それは否定しない。だがな、借金奴隷の記録は満期になるまで、消えないんだよ。解放されて、フラフラするわけにいかないんだ。ヘタすれば、購入者を殺したと思われて、犯罪奴隷になりかねないんだ。同行するしかないだろうが」
「あぁ、そうなるか。まぁ、こっちとしてはありがたい話だな」
「まったく……あっ、ゆうべ、オレに家に帰れって言ったのは、帰れなくなるからか」
「悪いな」
「いや、いい。おかげで家族の顔を見れた。それに兄貴から面白い話が聞けた。おい、マナミ? おまえ、兄貴を落としたそうだな」
マナミは、うなずく。
「小娘だと侮ったら落とされた、と言ってたぞ。しかもどうして、その状態になったのかもわからんそうだ」
「アタシ、説明したよ?」
「なんで空中を飛んだのか、わからんとさ」
「オレも見ていて、わからなかった。“柔道”じゃないよな」
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