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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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207/648

207【国内情勢を改善するには】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、3話話連続投稿します(1話目)

 外貨獲得には、物が必要だな。しかもお金をかけない物が。

 国民生活を向上させるには、それぞれに金が巡れば良い。しかし、その金がない。となれば、金に代わるものがあればいい。

「簡単なところからいきましょう。食料を民に与えます」

「しかし、それには金が足らぬ」

「お金は必要最低限で行ないます。ただし、与えるだけでなく、増やさせることも大事です」

「教えてくれぬか」

「まずは、全国民、特に底辺の民たちに、自分たちのまわりに食料があることを教えます」

「すでにある、と」

「王都まわりでもあるはずです。薬草採取などができるのであれば」

「そんなものがあれば、すでに――」

「誰も、それが食べられるとは、思っていないものなんですよ」

 オレはマジックバッグから、一般的に知られていない、と思われるものを出す。

 いくつかを見て、引く陛下。

「た、食べられる、のか」

「食べられますよ。一部はすでに、陛下のお口に」

「はぁっ!?」と驚きのあまりに立ち上がる陛下。

 そんな彼を見て、思わず笑ってしまった。

「失礼。あまりの驚き方でしたから、たまらずに笑ってしまいました」

「本当に大丈夫なのか」

「煉獄の実もありますが、あれは食べれませんね」

「れ、煉獄の実、だと?」

「実物を見たことは?」

「いや」

 マジックバッグから、ヒョイッと出した。

 陛下がヒッとソファーの影に隠れる。

「ご安心を。ちゃんと瓶に入れてありますから」

 それを確認して、ソファーの影から出てくる陛下。じっと瓶を見ている。

「初めて見る。これがそうか」

「すぐに隠れたのは、誰かから聞かされて?」

「う、うむ。先輩冒険者にな。食べられるかと思って、手にしたときに、魔獣に襲われて、思わず、投げつけたそうだ。そのときの魔獣のもがき苦しみ方が、とても悲惨だったそうだ」

「よかったですね、うまくもげて。ヘタをすれば、その場で冒険者が魔獣の代わりになっていたところです」

「うむ。それを想像して、身がすくんだそうだ」

「わかります。まぁ、これはともかく、食べられるものは多いです。それを民に教えれば、お金は教えるときに発生するだけです」

「ふむ」

「もちろん、料理のレシピなんかも配布すべきでしょうね」

「なるほど。それならば、たいした出費ではないな」

「これらが食べられる、となれば、育てられるかどうか、がわかったら?」

「育てようとするだろうな。育てて食べて、余ったら売る、か」

「あるいは、もとから売るつもりかもしれませんね。ともかく、それで下層の民の食料事情が改善されます。そうなれば、体力も付く。労働力が増えます。労働に見合う賃金を払えば、働いてくれる。労働者は賃金を得て、消費に使う。下位冒険者たちもここに入るでしょうね」

「なるほど。仕事を与え、対価を与える、か」

「ただし」

 その言葉にオレを見る陛下。

 オレは続ける。

「取り過ぎれば、どうなるか、ご存知ですよね?」

「ね、念のために、聞かせて欲しい。どうなるのかを」

「それを食べていた生物が飢える、ということです。餓えたら、ほかのものを食べる。いずれは、人間を襲う」

「そ、それでは意味がないではないか」

「だから、採り過ぎないようにする。まぁ、まずは加工しなければ、食べられないものから、としますか」

 テーブルの上のひとつを指差す。

「これには」と首を振る陛下。「毒がある。死にはしないが、激しい腹痛を伴う」

「ええ。でもその毒を取り除けば、人間でも食べられる食べ物になります。これを食べる魔獣は、ポイズンリザードだけです。ポイズンリザードの毒は、これから得ているんですよ」

「な、なんと!」

 ポイズンリザードは、その名のとおり、毒蜥蜴である。しかし、ゴブリンをひと飲みできるほどに巨体で、人の村を襲うこともある。ふつうの人は、逃げるしかない。

「しかもポイズンリザードは、毒を取り込むだけで、大半を排泄します」

「排泄の多さは、それか」

「だから、栄養の大半が土地へと還元されるので、それを得て、畑の肥料にすることも可能です」

「ふむ。ポイズンリザードはどうなる?」

「毒素のもとを得られないので、探しまわるか、少ない毒を効果的に使うようになる、かな? 正直なところ、わかりません」

「まぁ、そうであろうな」

「ですが、エサを求めて、人間を襲う、というのはこれまでと変わらないでしょう。頻度もそれほどの変化にはならないはずです」

「うむ。畑での栽培をすると、ヤツが襲ってきそうではあるが」

「可能性はあります。ですが、来るとわかっているのであれば、対応策は取れるでしょう。罠を張るなりなんなりすれば」

「そうだな」

「また、この毒素は、加工の過程で、無毒化されますので、安心です」

「それは良いな。毒が別の場所に移るなど、考えたくないからな」

 それ以外にも、あれこれと話すオレと陛下。


※ポイズンリザード

  独自魔獣。と思ったが調べてみたら

  スクエア・エニックス社のゲーム

  『ドラゴンクエスト』シリーズに登場。

  本作では、毒をどこから得ているかを

  書いているだけ。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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― 新着の感想 ―
フグや矢毒カエルも、餌から毒素を吸収していますよね。 ……だからと言って、100%自力生産出来ないわけではないはずなので、『命は大事に』が基本です。 中学時代の恩師から、漁師民宿で青ブダイ(魚)のシ…
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