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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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200/648

200【女王様】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、3話連続投稿します(2話目)

 こうなったら、仕方ない。

「ウーちゃん、ケルピー化して。この塀を越えよう」

『大丈夫か?』

「この騒ぎ、オレたちが原因だからね。今さらでしょ」

『なるほど』

「塀を越えたら、門衛のところへ行くよ」

『わかった』

 ウーちゃんが、ケルピー化していく。

 それを目にした人々が驚き叫ぶ。

「オレの従魔です! 安心してください! 行こう!」

 ウーちゃんが軽く走ってから、宙を走り出す。

 人々は、そのようすをポカンッと見つめる。

 塀は高く、なかなか上に達しない。

 途中で、何かが、オレの顔の前を通り過ぎた。細い何かだ。

 飛んできた方を見ると、塀の上に弓兵がいて、こちらに矢を放ってきていた。

 オレは、アイテムボックスから、結界の魔導具を出して起動した。

『ウーちゃん、結界を張ったから。まぁ、ウーちゃんなら弾くだろうけど』

『うむ、当然じゃな』と笑う。

 ようやく塀の上に出た。弓兵は凝りずに矢を放ってくる。

「撃つな! 巨大な魔獣についての情報を持ってきた!」

 放たれる矢が止まった。

「もう一度、言ってくれ!」と弓兵のひとり。

「巨大な魔獣についての情報を持ってきた!」

「そいつはなんだ!?」

「ケルピーだ! オレの従魔だ!」

「ならプレートを付けているな!?」

「もちろんだ!」

「では、ここに降りろ! 確認する!」

 ウーちゃんに降りるように言う。

 その弓兵のところに降りると、矢を番えた弓を下向きにして、恐る恐る近付いてきた。

 そして、ウーちゃんのプレートを確認する。

 オレのギルドカードも確認してもらい、ウーちゃんのプレートと()れ合わせて、オレの従魔であることが証明された。

「本当にケルピーを従魔にしたのか」

「ああ。暴れたりしないよ」

「わかった。信じよう。おい、みんな!

大丈夫だ!」

 彼自身も弓から矢を外して、見せた。

 まわりの弓兵たちも矢を外す。

「それで?」

「巨大な魔獣というのは、ケルピーの女王のエッヘ・ウーシュカだ」

「エッヘ?」

 彼もまわりの弓兵たちも、知らないらしい。まぁ、仕方ないな。

「ドラゴンよりは小さいが、それなりに大きい」

「ケルピーの女王とか言ったな。そのケルピーに関わりがあるのか?」

「ない。オレも見たんだ。それでこの子から聞いた」

「なるほど」

「済まないが、緊急依頼を受けて、薬を運んでいるんだ」

 オレは、依頼書を提示する。

「おそらく、商業ギルドから案内役が来ているはずなんだが」

「わかった。確認する」

 彼は部下に走らせた。


 塀の奥にいた弓兵のひとりが、下を覗いていたが、その弓兵がこちらの弓兵に合図した。

「確認が取れた。そのまま、下に降りれるか?」

「ああ」

「では、行ってくれ。エッヘなんとかについて、ほかにないか?」

「一度、地上に降りたのを確認している。エサを見つけたんじゃないかな」

「エサか。ありがとう」

 オレたちは、下へと降りた。馬化するウーちゃん。

 そこには、槍を持った兵士たち。槍の穂先のすべてがウーちゃんに向けられていた。

『失礼なヤツラじゃ』

『そうだけど、大人しくしててね』

『心配せずとも暴れはせん』

『ありがとう』「商業ギルドの方は?」

 兵士たちのあいだから、ひとりの女性が出てきた。

「私です」

「早く届けたい。乗ってください」

「はい」

 彼女の手首を掴んで、引っ張り上げる。オレの背中に。

 彼女の指示に従って、ウーちゃんを進める。


 到着したのは、随分と豪勢なお屋敷前。

 彼女が門番に要件を告げる。

 すぐに門が開かれた。

「すでに連絡をしてありました」と彼女。

「なるほど」

 玄関前まで来ると、玄関が開き、ひとりの男性が姿を見せた。執事だろうか?

 オレは彼女を降ろしてから、降りた。

「ようこそ。それで薬は?」

 バッグから取り出すようにして出す。

 掲げ持つと、彼は、おお、とよろこぶ。

「早く患者のもとへ」とオレが急かす。「処方は知っています」読んだからね。

 彼は、少し思案したが、折れた。

「こちらへ」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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