020【出発】
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ふぁぁ、眠い。起きたけど、まだ眠い。欠伸が出る。
なんせ、まだ日が出ていないんだから。
そこをランドルフに強襲された。いや、起こしてくれ、と頼んだんだから仕方ないし、それほど乱暴に起こされたわけでもない。
ドアのカギ? 女将さんからカギを借りたって。起きてる女将さんもすごいな。いや、それがここでは当たり前なのか。
ようやくオレたちが一階のテーブルについたのは、起こされて十五分かな。特に女子が遅かった。まぁ、女子にはいろいろあるからな。詮索しないよ。あとが怖いもん。
朝食は、黒パンと具なしスープ。調理用ナイフをまわして、黒パンを好きにカット。それをスープに浸して柔らかくして、食べる。スープはうまい。塩分はそれほど酷くはない。あとで、分けてもらおう。
とりあえず、完食。
出発するときに、ランドルフに怒られた。
「おい! おまえたち、装備は!?」
四人がオレを見る。
「オレが預かってます。ここに」と肩掛けバッグをポンポン叩く。「新人相手ですから、念のためにね」
「マジックバッグか」
マジックバッグとは、アイテムボックスの下位互換的なもの。重量軽減タイプと時間遅延タイプがある。もちろん、両方のものも。
「はい。ある方からいただきました」
はい、王城からいただきました。
「そうか。羨ましい。だが、馬車には出しておいた方がいい。衛兵に怪しまれる」
「あぁ、わかりました。そうします」
「それにしても、そんないいものを持っているなら、商品も入れればいいのに」
「ええ。ですが、商品にはふたつの種類がありまして」
「ん?……あぁ、なるほどな。わかった」
「察していただき、ありがとうございます」
馬を受け取り、馬車に繋ぎ、荷台に商品と彼らの装備を載せ、出発。
王都を出る門へ。門衛に全員でギルドカードを出して、積荷を調べてもらう。
そのあいだに門衛長とランドルフが会話する。
「そうか、五年は長いな」
「あぁ。だが、屋内で燻ぶっているより、旅をする方がいいからな」
「確かにな。また、呑みに行こう」
「あぁ」
なんのお咎めもなく、門を出る。
「さて、サブ、オトルナ村からだったな」
「あぁ。それからちょっと話したいことがある。前の依頼の依頼主について」
ランドルフがオレを訝しげに見てくる。
「まさか、アイツの――」
「話せる辺りに来たら、教えてくれ。話はそれからだ」
「わかった」
彼は、表情を固くして、前を向く。それから彼は黙ったままになった。
王都を脱出しました。
次からは、逃亡と訓練生活になります。
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