199【薬運びに出発】
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少し長いため、3話連続投稿します(1話目)
採取した食材なんかをマナミにある程度渡し、オレはウーちゃんとともに出発した。
ウーちゃんにまずは馬化してもらって、門から出る。
門から見えなくなるところまで来たところで、ケルピー化してもらって、空を駆けてもらう。
充分離れたところで、本来の姿に。
オレは背中にくっつく。もう虫の気分だね。
索敵でメカタ村をマーク。その方向を念話で、ウーちゃんに伝える。
さすがの速度に、風圧がすごい。でも耐えるしかない。まぁ、ウーちゃんが吸着しているから、落ちたりしないけどね。
驚いたことに小一時間でメカタ村上空に到着した。
小さくなってもらい、地上に降りて、馬化。
それで門を通過。
そのまま、薬師のシファーさんのところへ走る。
このとき、ウーちゃんは地面を蹴ってはいなかった。地面すれすれを魔法で浮いていたのだ。突き上げが来ないのでありがたい。
シファーさんの家に着くと、ウーちゃんを降りずに声をあげて呼ぶ。
「おお、誰かと思ったら、サブではないか」
「“熱覆い”の薬を受け取りに来ました」
「サブが受けたのか。ちょっと待ってくれ。すぐに用意する」と家に入る彼女。
五分ほどで、彼女は出てきた。
「これが薬だ。中に服用方法を入れてある。順番を間違えるな」
彼女から袋を受け取る。すぐにしまう。
「サブ、またガラス容器を作ってくれぬか? できれば、三十ほど、欲しい。もちろん、薬を届けたあとでな」
「あとで連絡を入れます。では」
「頼むぞ」
門を出て、少ししてから、巨大化して、王都を目指す。
途中、休憩や野営をしながら、出発して四日目に、前方に既視感のある景色が見えてきた。
『あれが、王都だよ、ウーちゃん』
『ふむ。なんか、壁が高いのぉ』
『防壁だよ。外の国からの侵略や魔獣なんかの対処のためのものだね。そうだ、近くに町があるから、小さくなって、寄ってもらえる?』
『このまま、王都に行くのでは?』
『いや。向こうに着いても、どこに行けばいいのか、わからないから、案内の人をお願いしようと思ってね』
『ややこしいのぉ。まぁ、良いわ』
小さくなって、地上に降りて、馬化してもらって、町の門に近付く。
門衛に依頼書を見せて、商業ギルドを教えてもらう。
礼を言って、向かった。
商業ギルドに入ると、すぐにスタッフさんが近付いてきた。
そこで、依頼を受けて、王都に行くのだが、王都は初めての土地なので、案内が欲しいことを説明する。
すると、応接室に案内されて、ソファーを勧められ、座る。
しばらくすると、恰幅のいい男性が入ってきた。
ここのギルマスだとか。わかってました。
「今、王都に手続きを取ります。あと、どのくらいで、王都に到着予定でしょうか?」
「馬車で、どのくらいでしょうか?」
変な質問に、首を傾げるギルマス。
「王都自体は上空から見えたんですが」
「はい?」
説明が必要なのね。
「従魔に乗って、来ました。こちらの用向きは話しました。おそらく今日中には到着できるかと。いいですか、今日中ですよ?」
「本当に?」
「乗ってみますか? 空から落ちるかもしれませんけど? 私としては、早く子どもに薬を届けたいんですが?」
うん、ちょっとイライラしているよ。
一瞬、呆けた顔をしたギルマスだったが、すぐに頭を振って、真剣な顔になった。
「そうでした。では、今日中だと伝えます。ほかに何かございますでしょうか?」
「ありません。では、よろしく」
オレは立ち上がり、足早に外のウーちゃんに飛び乗った。
王都の門には、長蛇の列があった。しかも列に並んでいる人々が騒がしい。
最後尾の人に尋ねてみた。
「巨大な魔獣が空を飛んでいたって言ってさ、門を閉ざしやがったんだよ」という答えが返ってきた。
うん、間違いなく、オレたちが原因だね。ちゃんと見張っていたんだね。偉い偉い。
じゃなくて、どうするよ、これ。
とりあえず、門衛のところへ行く。
門は閉じられており、そこに人はいない。
声を張り上げても、まわりの喧騒がうるさくて、門衛の耳には入らなそうだ。
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