193【次の斥候隊と拠点】
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少し長いため、3話ではなく2話連続投稿します(2話目)
オレは、索敵で条件を指定した。すぐに結果が現れる。
「新たな斥候が出てきた。また八匹。やっぱり街道を縦列行動している」
「なんなんだよ、その行動」とダルトンがイライラしている。
「街道を人間が作ったのを知っている?」とランドルフが怪訝な表情をする。それから気が付いたように顔を上げた。「まさか、人間の味を覚えて、村を襲いに行こうとしているのか」
「それだったら、なぜこっちに来ないの? あっ」
「そうだ。こっちだと人間が多過ぎて、抵抗されると考えているんだ」
「そういうことか!」
「どっちにしろ」とオレ。「やらなきゃならないのか」ため息しか出ない。
「やってくれるのか?」とギルマス。
「時間稼ぎをね。集落はやりません。斥候削りだけです。どうだ、みんな?」
全員がうなずく。
「ドレック、そっちも頼めないか? オレたちだけだと、疲弊しちまうだけだ。せめて、休める時間が欲しい」
ドレックたち三人が話し合う。少しして、まとまったようだ。
「イザとなったら、逃げるからな」
「当然の権利だね」
オレとドレックで握手した。
オレたち十人は、浮遊の魔導具で浮かび、ウーちゃんとラキエルに引いてもらって、斥候隊のところまで移動した。
上空からキヨミ・マナミ・エイジで、水球での口封じ。それから地上に降りて、先日とほぼ同じ攻撃をする。
やはり、突然の水球に動揺が少ない。
ならば!
「ハルキ、マグマで顔をやれ!」
「おう」
ハルキのマグマバレットが、一体のオーガの顔面を捉え、覆った。次の瞬間、爆発する。そいつは、顔がなくなり、息絶え、背中から倒れた。広がったマグマバレットが、そいつの足元にボトッと落ちた。
撃ったハルキが、呆然とする。
「ハルキ、次だ!」
オレの声に反応して、頭を振って、次のヤツにマグマバレットを撃ち込む。また、爆発。こちらは顔を覆って、痛みに叫ぶ。
そうやって、次々とマグマバレットを顔面に当てて、爆発させていく。
それから最後に、息の根を止める作業。
「サブさん」とハルキ。呆然としている。わかるわかる。オレもだもん。「なんで爆発なんてしたんですか?」
「最初は熱で焼けばいい、そう思っての指示だった。でも爆発した。あれは水蒸気爆発だよ。高温のものに触れると、水は急激に水蒸気になる。そのときの急激な膨張で爆発したんだ」
「じゃぁ、これでやれますね?」と笑み。
「ひとつの方法だな。ハルキ、MPを確認しておけ」
確認するハルキ。だいぶ減っていた。まぁ、三分の一ほどで、大丈夫だが。
みんなに遺骸の回収をしてもらう。
「ハルキ、今のうちに練習しておけ。まだあんまり使っていないんだろう?」
「はい。でも水球とともに使った方がいいんじゃ?」
「時と場合による。だが、ああいった斥候隊には、爆発の必要はない。口封じと足止めができれば、充分だ。闘える人間が多い方がそれぞれの負担が減る。そう思わないか? それに爆発を必要とするときに、練度の低い魔法では、敵を倒せる確率が下がるぞ。一か八かの作戦よりも確実な方がいいだろう?」
彼は、自分の中で言葉を理解するのを待って、うなずいた。
「わかりました。練習します」
「頼むぞ。できれば、四つ五つぐらいを正確に撃ち込めるとありがたい。まずは小粒で当てていくんだ。それがうまくなったら、徐々に大きくしていき、オーガの顔を覆えるくらいのものにしてくれ。ホーミングもできるとなおいい。ちょっと要求しすぎかな」と笑む。
回収が終わり、練習しているハルキ以外を集めた。
「ここに拠点を作る。斥候隊を迎え撃つためと、エイベ村からの通行を止めるためだ」
全員が同意する。
「拠点と言っても、すでに出来ているから、楽にしててくれ」
「どういう意味だ?」とドレックが首を傾げる。
「こういうことさ」
アイテムボックスから、湖で使っていた小屋を出した。
ドレックたちが驚くのも無理はない。突然、出てくるんだからな。
「うわぁ」「懐かしいですね」とキヨミとマナミ。
「これなら」とエイジ。「消耗が少なくて済みます」
ドレックたちを残して、全員が小屋に入っていく。
オレは、三人に近付く。
「以前に湖のほとりで、ふた月ほど、訓練をしていたんだ。そのときの小屋だよ。不寝番の交代はするが、野営よりは休める。体力勝負だからな」
「えっと、何を言えばいいのか、わからんよ」
「ま、そうだろうな」
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