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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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192/648

192【オーガ斥候隊の討伐】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


少し長いため、3話ではなく2話連続投稿します(1話目)

 ヘイサト町に到着したのは、それから一日半を少し過ぎたころだった。それまで誰とも出会わなかった。


 門衛にギルドカードを出して、オーガの集落のことが、どういう話になっているのか尋ねたが、混乱している、と言う。

「冒険者ギルドに問い合わせてくれ」

「わかった」


 直接、冒険者ギルドに(おもむ)く。

 中に入ると、冒険者たちが右往左往していて、落ち着かない。

 よく見なくても彼らが上位冒険者ではないのはわかった。

 ダルトンとウーちゃんの姿を探したが、その場にはいない。

 受付に行き、受付嬢に尋ねる。

「昨日、S級冒険者のダルトンという男が――」

 それだけで受付嬢に制止された。

「お名前をお願いします」

「サブと言います」

「どうぞ、こちらへ」とイスから立ち上がり、案内してくれる受付嬢。

 二階の奥の部屋のドアを受付嬢がノックして、オレが来たことを言うと、入室を促された。

 受付嬢がドアを開け、オレたちは中に入る。

 中には、ひとりの初老の男性とダルトンとウーちゃん。ウーちゃんはもちろん服を着ているよ。

「サブ、お疲れ」とダルトンが声をかけてきた。「この人は、ここのギルマス、アンダーテさん」

「よろしく」

「こちらこそ。まぁ、座ってくれ」

 ソファーに座るオレたち。

「オイラ、あれから半日で到着したんだけどさ。なんと――」

「上位冒険者がいなかった、だろう? 下の連中、どう見ても上位に見えなかった」

「そのとおりだ」とギルマス。「商隊の護衛に付いていかれてな。彼が来たときには、すっからかんだった」

「タイミング悪いよねぇ。とりあえず、エイベ村の冒険者ギルドには連絡したよ。向こうも上位冒険者がいないってさ。だから近隣の村へと避難するって」

「オーガの集落を潰すまで、か」

「そゆこと」

「それで」とギルマスに尋ねる。「今後の対応は?」

「応援は要請した。だが、近場に上位冒険者がいないらしい。君たちがここらで一番の上位冒険者だ」

「状況からそうじゃないかと思ってましたよ」とオレは肩をすくめる。

「オレたち《商いの風》は、無理だぞ」とドレック。「商人の護衛だけで、少数のウルフやゴブリン、オークをやるのが、せいぜいだ。おまえらのようにはいかない」

「まぁまぁ」と(なだ)める。「オレたちだけでもダメだし、君たちが一緒でも無理だろう。それはわかっているから」

 それを聞いて、ドレックはホッとする。

「すまん」

「いいって。じゃぁ」とギルマスを見る。「集落には手が出ませんね」

「報告してくれた数が間違いでなければ、な」

「間違いありません。オレが確認しましたから」

「そうか」

 ギルマスは、イスの背もたれに身体を預けた。どうしたらいいんだ、という感じだろうな。

「オレたちで」とハルキ。「やれませんか?」

「集落を、か? 難しいな。あの斥候だって、戦士レベルだ。ハルキの魔法が効いたが、全員であれは使えないだろう?」

「……はい」

「それに十人でようやく倒せた。それぞれが自分たちの役割を守って、な。不意をつけたことも大きかった。集落をとなると、手がつけられないだろうな。それにキングとかジェネラルとかはもっと強い。あれだけの集落だ。必ずいる。そうだよな、ランドルフ」

「そうだな。一体だけでも強い。それが五十体以上。統率する個体もいるに決まっている」

「あのぁ」とキヨミ。「夜襲は無理でしょうか?」

「閃光弾で目を潰す?」

「はい」

「痛みで大暴れして、手に負えなくなると思うよ。近付けなくなるな」

「ありそう」

「あの」とエイジ。「集落を襲うんじゃなくて、斥候を潰していくのは、どうですか?」

「削っていく、ってことか。それが続けられるのなら、な。おそらく途中から勘繰りだして、もっと強いオーガを出してくるかもな。そうなるとこちらが対処できるかどうか。だがまぁ、出てきた案で一番かもな」

「乗り気じゃないみたいですね」

「正直な。一番、気になるのは、相手の力量だ。オーガを相手にしたのは、今回が初めてだ。今までの魔獣の比じゃない。水球で顔を覆われたのに、アイツら、たいして動揺していなかった。そう思わないか?」

「確かに、そうですね」

「あの斥候隊だけっていう可能性はあるだろう。しかし、あれが一番下のヤツだったら? 次の斥候はさらに強くなる。オレたちで対応できるか? 数が増えるかもしれない。そうなったら? とまぁ、そんなことを考えてしまうわけさ」

 誰もが口を閉じてしまう。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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